野村胡堂
野村胡堂 · Japanese
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野村胡堂 · Japanese
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Original (Japanese)
「親分、東兩國に大層な小屋が建ちましたね。あツしは人に誘はれて二三度覗きましたが、いや、その綺麗さといふものは」 八五郎は相變らず江戸中のニユースを掻き集めて、親分の錢形平次のところへ持つて來るのでした。 「御殿造りの小屋でも建つたのかえ」 「そんな間拔けなものぢやありませんよ。小屋は昔からチヤチなものですが、中味が大變なんで、たまらねえほど綺麗な娘太夫が二人」 「馬鹿だなア、まだ松も取れないうちから、兩國の見世物小屋へ日參して居るのか」 「日參といふ程ぢやありませんよ、五日の間にたつた三度」 八五郎はでつかい指などを折つて勘定して居るのです。 「呆れた野郎だ。どうせ十手を見せびらかして、唯で入るんだろう」 「飛んでもない、最初は正直に十六文の木戸を拂ひましたよ。それで『一と目千兩』と言はれる、お夢の顏を拜んで、達者なお鈴の藝を見るんだから、九百九十九兩三分三朱くらゐは儲かるやうなもので――」 「お前といふ人間は、よく/\長生きするやうに出來て居るよ」 「二度目にはあつしといふ者が、錢形親分の片腕の八五郎とわかつて――」 「お前は俺の片腕かい、大したことだな。お前が居なきや、俺は手棒に
野村胡堂
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