野村胡堂
野村胡堂 · Japanese
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野村胡堂 · Japanese
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Original (Japanese)
その頃江戸中を荒した、凶賊黒旋風には、さすがの銭形平次も全く手を焼いてしまいました。 本郷、神田、小石川へかけて、町木戸の無いところを選って、三夜に一軒、五日に二軒、どうかするとそれが連夜に亘って、江戸の物持ち、有徳の町人共を、全く恐怖のドン底に陥入れてしまったのです。 「八、弱ったな、俺は十手捕縄を預かってから、こんなに弱ったことは無いよ」 銭形平次ほどの者が、つくづく嘆息するのはよくよくの事です。 「親分が手に了えないとなると、こいつは人間業じゃありませんね」 親分の腕に信頼し切っている八五郎は、これを鬼神の仕業とでも思って居たのでしょう。 「盗る物は金か、金目のものだ。そんな欲の深えエテ物があってたまるものか、人間の仕業にきまって居るよ」 「それなら、何処に証拠を残すとか、顔を見られるとか、尻尾位はつかまりそうなものじゃありませんか」 「笹野の旦那もそれを仰しゃるのだ、江戸の町人の難儀は、竜の口の御評定にもお話が出たそうだ、これで年を越された日にゃ町方一統の名前にかかわる――とな」 「それを親分一人が気を揉むことが無いじゃありませんか、雀の涙ほどでも、お上の御手当を頂いているこち
野村胡堂
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