牧野信一 · 일본어
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원문 (일본어)
或日、趣味に関して人に問はれた。 稍暫く私は、堅く首を傾けて忠実に沈思した――結局、酒なのか? と訊ねられた。それも私は、烏耶無耶に、否定するほどの気力もなく、何となくかぶりを振るだけのことだつた。私は困つて、私のこの殺風景な居室を見ながら、どうして貴君はそのやうな質問を、然も熱心に訊ねる気になつたのですか? と云はずには居られなかつた。客は、それが今日の自分の仕事なのだと云つた。私は、恐縮した。そして彼の仕事が水泡に帰するのであらうことを慮つて、気の毒な気がした。――他人の趣味を訊ねに行くことはちよつと面白いだらうな、その仕事こそ私には趣味が感じられさうだ、と私は心から羨望した。 「そこの机の上に双眼鏡が二つ載つてゐるが、一つは、それはプリズムぢやないんですか?」 「はア、さうです。つい此間友達に貰つたんです。此処では展望が利きませんので今日私はこれをふところにして散歩に行つて来たところなんです。これは相当に遠見が利くらしいんです。眼鏡に映る景色が――ですね、どちらかといふと、何となく薄暗く沈んで、沈むに伴れて反つて輪廓は、はつきりする、口ではちよつと云ひ憎いんだが、その薄暗く沈み方
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牧野信一
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