坂口安吾
坂口安吾 · Jepang
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坂口安吾 · Jepang
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Teks asli (Jepang)
健蔵兄、作品社から「中島健蔵氏へ質問」といふものを書けといふことで、文学には多々疑惑のみ溢れがちな日常ではあり渡りに舟と引受けたのですが、さて引受けてみて吃驚しました。なるほど疑問は次から次へとあるやうですが、さてそれを謙虚な質問といふ形に表はしてみやうとすると、これが非常にむづかしいのです。自分では疑問のつもりでゐるものが、質問の形に表はしてみやうとすると、いつのまにやらチャンと疑問に解答を与へてゐる不思議な自分に気付くのです。つまり僕の文学上の疑惑は常に「自問自答」といふ形にすつかり馴らされてゐて、唐突に心構えを変へてみたところで十日や廿日のことでは本心から謙虚な構えで他人に質問のできる自分でないことに気付きました。 これは甚だ不幸なことです。僕は正直にさう痛感しました。けれども反面それほど質問がむづかしいことに改めて気付いたのでした。すくなくとも僕にとつては、まことに謙虚な質問ができるやうな大海のやうにフランクな心構えになること、そのことだけで僕の文学がすでに半分くらゐは光りある救ひのなかへ足を踏み入れることになりさうだと感じました。さうして、要するに僕はつまり終生他人に質問はで
坂口安吾
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