野村胡堂
野村胡堂 · Jepang
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野村胡堂 · Jepang
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Teks asli (Jepang)
それは四回目の奇談クラブの席上でした。 その日の話し手桜井作楽は、近頃では珍らしい和服姿――しかも十徳を着て頤を生やした、異様な風体で、いとも悠揚と演壇に起ったのです。 真珠色の光の中に、二十四人の会員と、その半数ほどの臨時会員は、美しき会長吉井明子夫人を中心に、期待に張り切って、この一風変った話し手を見詰めて居ります。 「さて皆様、私の話は、自由自在に歓楽の夢が見られるという、世にも不思議な枕の物語でございます」 壇上の桜井作楽は山羊をしごき乍ら、こう語り始めました。 「――斯う申し上げたら、何を馬鹿なと皆様ははなっから笑われるかも知れませんが、私は決して出鱈目を申すのではございません。皆様のうちでも御年配の方は、明治の中頃まで、日本橋の照降町に、桜井屋という、枕を専門に商う不思議な店のあったことをご存じかと思います。――何を隠しましょう、私桜井作楽は、その桜井屋の血統の者で、枕を商う稼業は廃しましたが、家に伝わる旧記の中から、この奇怪至極な話を見付け出しましたので、幹事今八郎さんにお願いして、皆様に御披露する次第でございます」 桜井作楽の枕の前説はまだ続きます。 「或種の枕をしたた
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