野村胡堂
野村胡堂 · Jepang
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野村胡堂 · Jepang
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Teks asli (Jepang)
柳原の土手下、丁度御郡代屋敷前の滅法淋しい處に生首が一つ轉がつて居りました。 朝市へ行く八百屋さんが見つけて大騷ぎになり、係り合ひの町役人や、彌次馬まで加はつて搜した揚句、間もなく首のない死骸が水際の藪の中から見つかり、それが見知り人があつて、豊島町一丁目で公儀御用の紙問屋越前屋の大番頭清六と判つたのは、大分陽が高くなつてからでした。 ガラツ八の八五郎の大袈裟な注進で、錢形平次が來たのはまだ檢屍前。 「寄るな/\見世物ぢやねエ」 そんな調子で露拂ひをするガラツ八の後ろから平次は虔ましい顏を出して、初秋の陽の明るく當る筵を剥ぎました。 殺された清六は五十七八、小作りの胡麻鹽髷、典型的な番頭ですが、死骸の虐たらしさは、物馴れた平次にも顏を反けさせます。 「辻斬でせうね、ひどい事をするぢやありませんか」 八五郎は横から覗きました。 「――」 平次は默つて首を振りました。こんな下手な辻斬があるわけもありません。 「越前屋からは、まだ引取り手が來ませんよ。親分」 八五郎はそれが不平さうです。 「ツイ二十日前に、主人が卒中で死んだばかりだから、無理もないが――」 町役人は辯解がましく口を入れました
野村胡堂
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