野村胡堂
野村胡堂 · Jepang
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野村胡堂 · Jepang
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Teks asli (Jepang)
「親分、あつしの身體が匂やしませんか」 ガラツ八の八五郎が、入つて來ると、いきなり妙なことを言ふのです。 九月のよく晴れた日の夕方、植木の世話も一段落で、錢形平次は暫らくの閑日月を、粉煙草をせゝりながら、享樂して居る時でした。 「さてね、お前には腋臭が無かつた筈だし、感心に汗臭くもないやうだ、臭いと言へばお互ひに貧乏臭いが――」 平次は鼻をクン/\させながら、斯んな的の外れたことを言ふのです。 「嫌になるなア、そんな小汚い話ぢやなく、もつと良い匂ひがするでせう」 八五郎は素袷の薄寒さうな懷ろなどを叩いて見せるのでした。 「あの娘の移り香を嗅がせようといふのか、そいつは殺生だぜ、腹の滅つて居る時は、そんなのを嗅ぐと、虫がかぶつていけねえ」 「相變らず、口が惡いなア、そんなイヤな匂ひぢやありませんよ、お種人參と忍冬と茴香が匂はなきやならないわけなんだが」 「どこで、そんなものをクスねて來やがつたんだ」 「人聞きの惡いことを言はないで下さいよ。香ひの良い藥草を、一つ/\紙に包んで、綺麗な人から貰つたんですよ、それを紙入に入れて、内懷ろで温ためてあるんだが――」 「そんなものなら、髷節へ縛つて
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