牧野信一
牧野信一 · Jepang
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牧野信一 · Jepang
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Teks asli (Jepang)
この手紙を書くべく考へはぢめて、もう十日あまりも経つのであるが、手紙といふても稍かたちの違ふものであるから、起きあがつてからと思つてゐるうちに、中々風邪が治らず、もう間に合ひさうもなくなつたから、寝たまゝ弁解風のことを書く。 この間、風邪をひいて寝たはぢめに、いつかの君の小篇小説「からくり」を読み直して、仲々面白かつた。これに就いての、愉快な読後感を書きおくらうと思つた。 いつぞや、レインボーのサロンで、君の眼前でこれを読み、君に読後感を叩かれた時は、内心今度と同じ面白さを感じてゐたにも関はらず、つい、それをそのまゝ云ひ損つてしまつた。一言か二言何か云つただけに終つてしまつたのだつた。 「この次には、こんなのではない、もつと別なのを書く、書いたら見せるぞ。」 と君は、あの時云つた。 「見せて呉れ。」 僕は即坐に答へた。 その時、それに就いての話は、それだけで終つてしまつた。 あれは、たしか夏のはぢめの頃ではなかつたか。――そして、あれきり、別の作を君は未だに示さない。僕は待つてゐる。先月だつたか、さいそくの手紙を出したと思ふが。「別なの――」は、未だ知らぬが、僕は、あの短篇のやうなもの
牧野信一
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