Vol. 2May 2026

Buku

Perpustakaan pengetahuan dunia domain publik

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きのふは嵐けふは晴天

小熊秀雄

舞台 周囲が岩石ばかりの大谿谷の底を想像させる所、極度に晴れ渡つた早春の朝、遠くから太鼓のにぶい音と、タンバリンの低い音が断続的に聞えてくる、舞台ボンヤリとして何か間のぬけた感。○いざり一、(空虚な舞台へ這ひ出てくる、舞台の中央でものうく、哀調を帯びて、間ののびた声で)右や左の旦那さま、(急速に)世界の果ての、(真に迫つて)果ての果ての、果てにいたるまでの旦

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巌流島

直木三十五

巌流島 直木三十五 一 「天真正伝神道流」の流祖、飯篠長威斎家直が当時東国第一の兵法者とされているのに対して、富田勢源が西に対立して双び称されて居たものである。中条流より出た父九郎右衛門の跡を継ぎ名を五郎左衛門、入道してのちに勢源、自ら富田流の一派を樹てて無双の名人とされて居た。越前の国宇阪の荘、一乗浄教村の住人である。 飯篠家直の門下からは、弘流の井鳥為信

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巌の花 宮本顕治の文芸評論について

宮本百合子

宮本顕治には、これまで四冊の文芸評論集がある。『レーニン主義文学闘争への道』(一九三三年)『文芸評論』(一九三七年)『敗北の文学』(一九四六年)『人民の文学』(一九四七年)。治安維持法と戦争との長い年月の間はじめの二冊の文芸評論集は発禁になっていた。著者が十二年間の獄中生活から解放されてから、『敗北の文学』『人民の文学』が出版された。著者が序文でいっているよ

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巌頭の感

藤村操

悠々たる哉天壌。遼々たる哉古今。五尺の小躯を以て此大をはからむとす。ホレーショの哲学竟に何等のオーソリチーを価するものぞ。万有の真相は唯一言にして悉す。曰く「不可解」。我この恨を懐いて煩悶終に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲観は大なる楽観に一致するを。 ●図書カード

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原民喜

川 原民喜 彼の家は川端にはなかったが、彼の生れた街には川が流れてゐた。彼の記憶にも川が流れてゐた。 雪が東京の下宿屋の庭を埋めた日、床のなかで彼は遠くの川を想った。 春が来て彼は故郷へ帰って川上を歩いてみた。川にみとれながら、川にみとれた記憶にみとれながら。 ある日、東京から友達が来たので彼は何気なくその男に川上の風景を案内した。友達は一向興もなさげに彼に

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新美南吉

川 新美南吉 一 四人が川のふちまできたとき、いままでだまってついてくるようなふうだった薬屋の子の音次郎君が、ポケットから大きなかきをひとつとり出して、こういった。 「川の中にいちばん長くはいっていたものに、これやるよ」 それを聞いた三人は、べつだんおどろかなかった。だまりんぼの薬屋の音次郎君は、きみょうな少年で、ときどきくちをきると、そのときみなで話しあっ

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すみだ川

永井荷風

俳諧師松風庵蘿月は今戸で常磐津の師匠をしてゐる実の妹をば今年は盂蘭盆にもたづねずにしまつたので毎日その事のみ気にしてゐる。然し日盛りの暑さにはさすがに家を出かねて夕方になるのを待つ。夕方になると竹垣に朝顔のからんだ勝手口で行水をつかつた後其のまゝ真裸体で晩酌を傾けやつとの事膳を離れると、夏の黄昏も家々で焚く蚊遣の烟と共にいつか夜となり、盆栽を並べた窓の外の往

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すみだ川

永井荷風

俳諧師松風庵蘿月は今戸で常磐津の師匠をしている実の妹をば今年は盂蘭盆にもたずねずにしまったので毎日その事のみ気にしている。しかし日盛りの暑さにはさすがに家を出かねて夕方になるのを待つ。夕方になると竹垣に朝顔のからんだ勝手口で行水をつかった後そのまま真裸体で晩酌を傾けやっとの事膳を離れると、夏の黄昏も家々で焚く蚊遣の烟と共にいつか夜となり、盆栽を並べた窓の外の

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川へふなをにがす

小川未明

少年は、去年のいまごろ、川からすくいあみで、ふなの子を四、五ひきばかりとってきました。そして、庭においてあった、水盤の中に入れました。ほかにも水盤には、めだかや、金魚がはいっていました。 「けんかを、しないだろうかね。」と、少年は、心配しました。 「入れ物が、大きいから、だいじょうぶだろう。」と、友だちがいいました。 赤い金魚、黄色なめだか、うすずみ色をした

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川口一郎君の『二十六番館』

岸田国士

今月の二十三日から、築地座が飛行会館で上演する戯曲の一つに、『二十六番館』三幕といふのがある。作者は川口一郎君、恐らくこの名前は、まだ多くの人に知られてないだらう。 とかく今日までの新劇は、概ね雑誌文学の影響を受け、創作戯曲と称するものも、真の意味に於て、舞台的写実の妙境に達し得た作品は絶無と云つてよかつた。然るに、川口一郎君は、この処女作に於て、全く時代の

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川波

久生十蘭

第二次大戦がはじまった年の七月の午後、大電流部門の発送関係の器材の受渡しをするため、近くドイツに行くことになっていた大電工業の和田宇一郎が、会社の帰りに並木通りの「アラスカ」のバアへ寄ると、そこで思いがけなく豊川治兵衛に行きあった。 「よう、いつ帰ったんだ」 「つい、この十日ほど前に……用務出張でね、またすぐひきかえすんだ」 「おれも急に出かけることになった

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Untuk Kawabata Yasunari

川端康成へ

太宰治

川端康成へ 太宰治 あなたは文藝春秋九月号に私への悪口を書いて居られる。「前略。――なるほど、道化の華の方が作者の生活や文学観を一杯に盛っているが、私見によれば、作者目下の生活に厭な雲ありて、才能の素直に発せざる憾みあった。」 おたがいに下手な嘘はつかないことにしよう。私はあなたの文章を本屋の店頭で読み、たいへん不愉快であった。これでみると、まるであなたひと

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川端康成第四短篇集「心中」を主題とせるヴァリエイシヨン

梶井基次郎

川端康成第四短篇集「心中」を主題とせるヴァリエイシヨン 梶井基次郎 彼が妻と七才になる娘とを置き去りにして他郷へ出奔してから、二年になる。その間も、時々彼の心を雲翳のやうに暗く過るのは娘のことであつた。 「若し恙なく暮してゐるのだつたら、もう學校へあがつてゐる筈だ。あの娘等の樣に」 他郷の町の娘等は歌を歌つたり、毬をついたり、幸福そうに學校へ通つてゐた。――

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川端柳

豊島与志雄

川端柳 豊島与志雄 或る刑務所長の話に依れば、刑期満ちて娑婆に出た竊盗囚が再び罪を犯すのは、物に対する「欲しい」という感情からよりも、「惜しい」という感情からのことが多いという。「欲しい」という感情はまだ押えることが出来る。然し「惜しい」という感情はどうにも出来ないとか。 刑務所から娑婆に出た喜びは、自由の喜びという一言でつくされる。何をしようと何処へ行こう

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川端茅舎句集 01 序

高浜虚子

茅舎句集が出るといふ話をきいた時分に、私は非常に嬉しく思つた。親しい俳友の句集が出るといふ事は誰の句集であつても喜ばしいことに思へるのであるけれども、わけても茅舎句集の出るといふことを聞いた時は最も喜びを感じたのである。それはどうしてであるかといふ事は自分でもはつきり判らない。 茅舎君は嘗ても言つたやうに、常にその病苦と闘つて居ながら少しもその病苦を人に訴へ

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川蒸気は昔のまゝ

牧野信一

さあ、これから宿へ帰つて「東京見物記」といふ記事を書くのだ――おいおい、タキシイを呼び止めて呉れ、何方側だ? 何方側だ? 俺には見当がつかぬ――などゝ僕は同伴の妻に云ひ寄るのであつたが、妻君は、前の晩に友達と別れてから、夫と手を携へて怖る/\訪れた赤坂辺のダンスホールを訪れたところが、そこで、案外にも平気で踊ることが出来たので、自信を得てしまつて、やつぱり村

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川を遡りて

牧野信一

私たちは、その村で一軒の農家を借りうけ、そして裏山の櫟林の中腹にテントを張り、どちらが母屋であるか差別のつかぬ如き出放題な原始生活を送つてゐた。 或朝テントの中の食堂で、不図炊事係りの私の妻が気附くと、パンが辛うじて、その一食に足りる程度しか無かつた! のを発見して、叫んだ。 「正ちやん――あたし、うつかりしてゐたのよ。済まないけれど、お午までに町まで行つて

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巡回書庫と町村図書館と

佐野友三郎

巡回書庫と町村図書館と 佐野友三郎 余等は戦後教育上の経営として、通俗図書館がきわめて重要の地位を占むべしといえり。しかして、今や図書館経営の機運、まさに熟しこれが設立はいたるところに計画せられつつあり。余等、今日において早く自ら進みてこれが経営に着手せざれば、他日、社会の大勢に余儀なくせられて、これが設備を強いられんこと必せり。 本邦に於ける巡回書庫は、余

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巡礼紀行

萩原朔太郎

きびしく凍りて、 指ちぎれむとすれども、 杖は絶頂にするどく光る、 七重の氷雪、 山路ふかみ、 わがともがらは一列に、 いためる心山峽たどる。 しだいに四方を眺むれば、 遠き地平を超え、 黒き眞冬を超えて叫びしんりつす、 ああ聖地靈感の狼ら、 かなしみ切齒なし、 にくしんを研ぎてもとむるものを、 息絶えんとしてかつはしる。 疾走れるものを見るなかれ、 いまと

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はちの巣

小川未明

ある日、光子さんは庭に出て上をあおぐと、青々とした梅の木の枝に二匹のはちが巣をつくっていました。 「おとなりの勇ちゃんが見つけたら、きっと取ってしまうから、私、知らさないでおくわ。」 そう思って見ていますと、一匹ずつかわるがわるどこかへとんでいっては、なにか材料をくわえてきました。そして、一匹がかえってくると、いままで巣にとまって番をしていたのがこんどとんで

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巣立ち

堀辰雄

彼女は窓をあけた、さうすると、まるでさういふ彼女を待つてゐたかのやうに、小屋のすぐ傍らの大きな樅の木から、アカハラが一羽、うれしさうに啼きながら飛び下りてきて、その窓の下で餌をあさり出した。けさもまた霧雨がふつてゐるのである。もう七月だといふのに、さうやつて窓をあけてゐると、寒いくらゐだ…… はじめのうちはよく彼女は、その小鳥に何かやらうと思つて、いそいで食

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巣離れの鮒

佐藤垢石

巣離れの鮒 佐藤垢石 寒い冷たいとはいうが、もう春だ。そろそろと水が温んでくる。川や沼の面に生色ある光がただよって、いつの間にか堤防の陽だまりに霜ぶくれの土を破って芝芽が小さな丸い頭を突き出すと魚も永い冬の蟄居から眼ざめるのである。鮒は晩秋水の深みに落ち込んで腐れ藻の下や泥底に集団をなして寒い一冬を越すのであるが、寒が明けて陽ざしが明るくなってくると、集団を

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