Vol. 2May 2026

图书

公共领域世界知识图书馆

14,981종 중 3,792종 표시

一枝について

金鍾漢

年おいた山梨の木に 年おいた園丁は 林檎の嫩枝を接木した 研ぎすまされたナイフををいて うそさむい 瑠璃色の空に紫煙を流した そんなことが 出来るのでせうか やをら 園丁の妻は首をかしげた やがて 躑躅が売笑した やがて 柳が淫蕩した 年おいた山梨の木にも 申訳のやうに 二輪半の林檎が咲いた そんなことも 出来るのですね 園丁の妻も はじめて笑つた そして 

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一歩前進二歩退却

太宰治

日本だけではないようである。また、文学だけではないようである。作品の面白さよりも、その作家の態度が、まず気がかりになる。その作家の人間を、弱さを、嗅ぎつけなければ承知できない。作品を、作家から離れた署名なしの一個の生き物として独立させては呉れない。三人姉妹を読みながらも、その三人の若い女の陰に、ほろにがく笑っているチエホフの顔を意識している。この鑑賞の仕方は

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一灯

太宰治

一燈 太宰治 芸術家というものは、つくづく困った種族である。鳥籠一つを、必死にかかえて、うろうろしている。その鳥籠を取りあげられたら、彼は舌を噛んで死ぬだろう。なるべくなら、取りあげないで、ほしいのである。 誰だって、それは、考えている。何とかして、明るく生きたいと精一ぱいに努めている。昔から、芸術の一等品というものは、つねに世の人に希望を与え、怺えて生きて

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あるまりの一生

小川未明

フットボールは、あまり坊ちゃんや、お嬢さんたちが、乱暴に取り扱いなさるので、弱りきっていました。どうせ、踏んだり、蹴ったりされるものではありましたけれども、すこしは、自分の身になって考えてみてくれてもいいと思ったのであります。 しかし、ボールが思うようなことは、子供らに考えられるはずがありませんでした。彼らは、きゃっ、きゃっといって、思うぞんぶんにまりを踏ん

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一疋の昆虫

今野大力

一疋の足の細長い昆虫が明るい南の窓から入ってきた 昆虫の目指すは北 薄暗い北 病室のよごれひびわれたコンクリートの部厚い壁、 この病室には北側にドアーがありいつも南よりはずっと暗い 昆虫は北方へ出口を見出そうとする 天井と北側の壁の白堊を叩いて ああ幾度往復しても見出されぬ出口 もう三尺下ってドアーの開いている時だけが 昆虫が北へぬける唯一の機会だが、 昆虫

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一癖あるどじょう

北大路魯山人

一癖あるどじょう 北大路魯山人 どじょうなべ。美味くて、安くて、栄養価があって、親しみがあり、家庭でも容易にでき、万事文句なしのもの。ただし、貴族的ではない。これがどこへ行っても歓迎を受けているのは、もっともな話である。 なべものは一般に冬のものと決まっているところへ、こればかりは夏のものであることも、大方の興を呼ぼう。東京では、どじょうなべというより「柳川

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一票の教訓

宮本百合子

一票の教訓 宮本百合子 日本の新しい出発にとって意義深い総選挙は、四月十日に行われ、十五日までには全国の成果が知らされた。 前もって数えられていた全国の有権者は三千九百八万九百九十人といわれ、そのうち婦人有権者は二千九十一万七千五百九十三人とされていた。永年の戦争で、夥しい男子を家庭から失っている日本の姿がここに示されていたわけである。 婦人の参政権が認めら

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一種の攘夷思想

北村透谷

一種の攘夷思想 北村透谷 三千年を流るゝ長江漫※たり、其始めは神委にして、極めて自然なる悖生にゆだねたり、仲頃、唐宋の学芸を誘引し、印度の幽玄なる哲学的宗教に化育せられたりと雖、凡ての羣流、凡ての涓※を合せて、長江は依然として長江なり。満土を肥沃し、生霊を育成し、以て今日に至らしむ、この長江、豈に維新の革命によりて埋了し去ることあらんや。 われは心酔せる欧化

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一粒の真珠

小川未明

ある町にたいそう上手な医者が住んでいました。けれど、この人はけちんぼうで、金持ちでなければ、機嫌よく見てくれぬというふうでありましたから、貧乏人は、めったにかかることができませんでした。 それは、雪まじりの風の吹く、寒い寒い晩のことです。 「こんな晩は、早く戸を閉めたがいい。たとえ呼びにきても、金持ちの家からでなければ、留守だといって、断ってしまえ。」といい

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一つの約束

太宰治

難破して、わが身は怒濤に巻き込まれ、海岸にたたきつけられ、必死にしがみついた所は、燈台の窓縁である。やれ、嬉しや、たすけを求めて叫ぼうとして、窓の内を見ると、今しも燈台守の夫婦とその幼き女児とが、つつましくも仕合せな夕食の最中である。ああ、いけねえ、と思った。おれの凄惨な一声で、この団欒が滅茶々々になるのだ、と思ったら喉まで出かかった「助けて!」の声がほんの

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一緒に歩く亡霊

田中貢太郎

一緒に歩く亡霊 一緒に歩く亡霊 田中貢太郎 「老媼茶話」には奇怪な話が数多(たくさん)載っている。この話もその一つであるが、奥州の其処(あるところ)に甚六と云う百姓があった。著者はその人となりを放逸邪見類なき者也と云っている。兎に角冷酷無情の男であったらしい。 その甚六に一人の姉があった。その姉は早く夫に死なれて一人の女(むすめ)を伴れて孀(やもめ)ぐらしを

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一茶の書

北大路魯山人

われと来て遊べや親のない雀 痩蛙まけるな一茶是に有り 一茶自身の運命にも、なにかそうしたところがありはしなかっただろうか。 それはともかくとして、その書であるが、素質的にいって、大徳寺代々のうちでの随一の能書家(これは私の独断であるが)春屋禅師の書、池野大雅の書、良寛和尚の書、茶人元伯、原叟などの書などと共通なところを持っているかのように思われる。 しかし、

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一草庵日記

種田山頭火

晴。 絶食、私は絶食しなければならない、食物がないといふ訳ばかりでなく、身心清掃のためにも。―― せめて今日一日だけでもすなほにつつましく正しく暮らしたいと思ふ、その日その日――その時その時を充実してゆくことが一生を充実することである。 黙々読書、おのれに籠つておのれを観た、労れると柴茶をすすつた…… 今日も午後はおこぼれ夕立があつた、めつきり涼しくなつて、

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一葉女史の「たけくらべ」を読みて

高山樗牛

一葉女史の「たけくらべ」を讀みて 高山樗牛 本郷臺を指ヶ谷かけて下りける時、丸山新町と云へるを通りたることありしが、一葉女史がかゝる町の中に住まむとは、告ぐる人三たりありて吾等辛く首肯きぬ。やがて「濁り江」を讀み、「十三夜」を讀み、「わかれみち」を讀みもてゆく中に、先の「丸山新町」を思ひ出して、一葉女史をたゞ人ならず驚きぬ。是の時「めざまし草」の鴎外と、なに

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一葉の日記

久保田万太郎

“ある女――斯の人は夫を持たず了ひで亡くなつたが、彼女の居ない後では焼捨てゝ呉れろと言ひ置いて、一生のことを書いた日記を遺して行つた。” “種々な人のことが書いてあるといふ彼女の日記は、幾度か公にされるといふ噂のみで、その機会なしに過ぎた。焼捨てるのは勿体ないし、唯蔵つて置くのも惜しい、世間へ出して差支の無いものなら出したい、斯ういふ妹からの頼みで、自分等は

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一貫章義(現代訳)

幸田露伴

昔、中国の詩人陶淵明は、書物を読むにあたっては甚解を求めないと云った。むずかしく細かな点まで穿鑿した煩わしい解釈が、甚解というものだ。読書人の読書はその大意が解ればそれで良いので、淵明のような読書人が甚解を求めなかったのは当然のことだ。しかし書物を読んで自分勝手に解釈したり、誤解したり、咀嚼もしないで生半可な解釈をしたり、解らないところが有っても強いて読み過

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一つ身の着物

壺井栄

赤ん坊の名を右文といった。生後一年で孤児になり、私の家へくることになった。赤ん坊のひいおばあさんにあたる人からこの話をもちこまれる前に、私たち夫婦はもうその覚悟でいたのだが、いよいよとなると、さまざまな難問題が湧いてきた。しかし、だからといって肩をはずすわけにも行くまいと考えられたので、とにかく引き取ろうということになった。その中どこからか救いの手がのびてく

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一連の非プロレタリア的作品 「亀のチャーリー」「幼き合唱」「樹のない村」

宮本百合子

十月下旬行われた作家同盟主催の文学講習会のある夜、席上でたまたま「亀のチャーリー」が討論の中心となった。ある講習会員が「亀のチャーリー」をとりあげ、その作品は一般読者の間で評判がよく親しみをもって読まれたから、ああいう肩のこらない作品の型もプロレタリア文学の中にあってよいのではないかという風に問題をおこし、プロレタリア文学のジャンルの問題に連関させていた。

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一週一夜物語

小栗虫太郎

一週一夜物語 小栗虫太郎 一、大人 O'Grie 僕は、「実話」というのが大の嫌いだから、ここには本当のことを書く。 というものの、どうもこれが難題なので、弱る。作らず、嘘でなく、じっさい僕が聴いた他人の告白なんて――よくよく天邪鬼でないかぎり、いえた芸ではないと思う。 とにかく、これはいわゆる実話ではない。あくまで、僕が経験し、じっさいに聴いた話である。

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その一週間 ――不真面目なわが心……

中原中也

「御暇でしたら、一寸御相談したい事等御座居ますので、私の動く事についての事ですが、岩山さんともいろいろ考へたのですが、で、考へをおかし下さいませんでせうか、お待ちします、御目文字の上、」 かういふ、女からの葉書が舞ひ込んだのは、水曜日の正午であつた。私は前夜の飲過ごしでぐつたりして、少し卓子の割合には高過ぎる椅子に腰掛けて、煙草を喫つたり本を読みかけてみたり

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一過程

島木健作

一過程 島木健作 夕やけが丘の上の空を彩りはじめた。暮れるにはまだ少し間のある時刻である。部屋のなかはだがもううす暗く深い靜けさにひそまりかへつてゐる。十人にちかい男たちがこの二階にありとは思へぬ靜けさである。風が出て來たらしい。寢靜まつた夜などはその遠吠えの音がきこえもする海の上を渡り、さへぎるもののない平地を走つてこの高臺の一軒屋にぢかに吹きつける二月の

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一の酉

武田麟太郎

一の酉 武田麟太郎 帯と湯道具を片手に、細紐だけの姿で大鏡に向ひ、櫛をつかつてゐると、おきよが、ちよつと、しげちやん、あとで話があるんだけど、と云つた、――あらたまつた調子も妙だが、それよりは、平常は当のおしげをはじめ雇人だけではなく、実の妹のおとしや兄の女房のおつねにまでも、笑ひ顔一つ見せずつんとしてすまし込んでゐるのに、さう云ひながら、いかにも親しさうな

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一銭銅貨

小川未明

英ちゃんは、お姉さんから、お古の財布をもらいました。そして、お母さんから、小遣いをいただくと、その中にいれておきましたが、じきに、つかってしまうので、その財布の中は、いつもからっぽでありました。 ある日、英ちゃんが、その財布を、ばたばたやっていると、お姉さんがごらんになって、 「英ちゃんの、財布の中は、いつもからっぽなのね。」と、笑いながらおっしゃいました。

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