Vol. 2May 2026

图书

公共领域世界知识图书馆

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とんまの六兵衛

下村千秋

昔、ある村に重吉と六兵衛という二人の少年が住んでいました。二人は子供の時分から大の仲よしで、今まで一度だって喧嘩をしたこともなく口論したことさえありませんでした。しかし奇妙なことには、重吉は目から鼻へ抜けるほどの利口者でしたが、六兵衛は反対に何をやらせても、のろまで馬鹿でした。また重吉の家は村一番の大金持ちでしたが、六兵衛の家は村一番の貧乏でした。それでいて

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六号室

チェーホフアントン

町立病院の庭の内、牛蒡、蕁草、野麻などの簇り茂つてる邊に、小やかなる別室の一棟がある。屋根のブリキ板は錆びて、烟突は半破れ、玄關の階段は紛堊が剥がれて、朽ちて、雜草さへのび/\と。正面は本院に向ひ、後方は茫廣とした野良に臨んで、釘を立てた鼠色の塀が取繞されてゐる。此の尖端を上に向けてゐる釘と、塀、さては又此の別室、こは露西亞に於て、たゞ病院と、監獄とにのみ見

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六号室

チェーホフアントン

町立病院の庭の内、牛蒡、蕁草、野麻などの簇り茂ってる辺に、小やかなる別室の一棟がある。屋根のブリキ板は錆びて、烟突は半破れ、玄関の階段は紛堊が剥がれて、朽ちて、雑草さえのびのびと。正面は本院に向い、後方は茫広とした野良に臨んで、釘を立てた鼠色の塀が取繞されている。この尖端を上に向けている釘と、塀、さてはまたこの別室、こは露西亜において、ただ病院と、監獄とにの

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六号記

岸田国士

六号記 岸田國士 どうにもならぬことを、ひとりぶつぶつ云つてもしようがない、と思ふやうになつてゐることは事実である。誰でも考へてゐるやうなことを、わざわざ口に出して云ふのは、野暮の骨頂だ、といふ風にも教へられてゐる。が、しかし、どうにもならないとは、一体、いつからきまつてしまつたのであらう? 当り前でないことが当り前で通るやうになつたのは、誰もが考へてゐるだ

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六月

相馬泰三

六月 相馬泰三 まあ、なんと言ったらいいだろう、そうだ、自分の身体がなんのこともなくついばらばらに壊れてゆくような気持であった。身を縮めて、一生懸命に抱きしめていても、いつか自分の力の方が敗けてゆくような――目が覚めた時、彼は自分がおびただしい悪寒に襲われてがたがた慄えているのを知った。なんだかそこいらが湿っぽく濡れている。からだのどこかが麻痺れて知覚がない

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六月十九日

太宰治

なんの用意も無しに原稿用紙にむかつた。かういふのを本當の隨筆といふのかも知れない。けふは、六月十九日である。晴天である。私の生れた日は明治四十二年の六月十九日である。私は子供の頃、妙にひがんで、自分を父母のほんたうの子ではないと思ひ込んでゐた事があつた。兄弟中で自分ひとりだけが、のけものにされてゐるやうな氣がしてゐた。容貌がまづかつたので、一家のものから何か

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六月十九日

太宰治

なんの用意も無しに原稿用紙にむかった。こういうのを本当の随筆というのかも知れない。きょうは、六月十九日である。晴天である。私の生れた日は明治四十二年の六月十九日である。私は子供の頃、妙にひがんで、自分を父母のほんとうの子でないと思い込んでいた事があった。兄弟中で自分ひとりだけが、のけものにされているような気がしていた。容貌がまずかったので、一家のものから何か

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六甲山上の夏

九条武子

薄紫の可憐な松虫草は、大空の星が落した花のような塵にもまみれず、爽やかな夏の朝を、高原のそこここに咲いていた。美しい糸を包んだ薄は日に/\伸びてゆき、山上の荘は秋もまだ訪ずれぬのに、昼さえ澄んだ虫の声をきくのであった。 海抜三千尺という山の上から望む茅渟の海は、遠く視野のはて、紀淡海峡を去来する汽船の煙が長く尾を引いて、行方も知れず空に消えてゆく。――山の上

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六白金星

織田作之助

六白金星 織田作之助 楢雄は生れつき頭が悪く、近眼で、何をさせても鈍臭い子供だつたが、ただ一つ蠅を獲るのが巧くて、心の寂しい時は蠅を獲つた。蠅といふ奴は横と上は見えるが、正面は見えぬ故、真つ直ぐ手を持つて行けばいいのだと言ひながら、あつといふ間に掌の中へ一匹入れてしまふと、それで心が慰まるらしく、またその鮮かさをひそかに自慢にしてゐるらしく、それが一層楢雄を

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六百句

高浜虚子

さきに『ホトトギス』五百号を記念するために、改造社から『五百句』という書物を出し、また『ホトトギス』五百五拾号を記念するために、桜井書店から『五百五十句』という書物を出した。今度また菁柿堂の薦めによって、『ホトトギス』六百号を記念するために『六百句』という書物を出すことになった。 これは昭和十六年から、昭和二十年までの句の中から選んだものである。『五百句』の

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六羽の白鳥

グリムヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール

ある国の王さまが、大きな森のなかで、狩をしたことがありました。王さまは、一ぴきけものをみつけて、むちゅうで追って行きました。お供のけらい衆のうち、たれひとりあとにつづくことができないくらいでした。するうち日がくれかけて来たので、王さまは追うことはやめて、立ちどまったまま見まわしてみて、森にまよいこんだことがわかりました。どこか出る路はないかとさがしましたが、

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共同の目標

岸田国士

共同の目標 岸田國士 日本新劇倶楽部が生れた。率直に云へば、甚だ漠然と生れた形である。しかし、さういふものが生れる必然性はあつたと云へる。非常に易々と生れたことからもさう考へられるし、生れたものに対する一般の期待が、相当大きいといふ事実もこれを証拠立ててゐる。 さて期待をもたれてゐることは事実として、また一方では、その期待に添ふやうな仕事ができるかどうかを危

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共同耕作

宮本百合子

共同耕作 宮本百合子 裏のくぬぎ林のあっちをゴーゴーと二番の上りが通った。 とめはいそいで自分のたべた飯茶碗を流しの小桶の中へつけると、野良着へ手拭をしっかりかぶって、土間から自転車をひき出した。 「もう行くか」 「ああ」 炉ぶちのむしろから、年はそうよってないのに腰のかがんだ親父の市次が立って来て、心配そうに云った。 「――めったと皆の衆の前さ、目え立つよ

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共産主義者の犯罪

チェスタートンギルバート・キース

三人の男がマンドビル学寮の柔らかい感じの正面にあるチュードル式の低いアーチの下から出てきて、いつ暮れるとも思えないような夏の夕方の日ざしをあびた。そしてその日ざしの中に、電光のようにはかない或る物を見た……命がけのショックと言つてもふさわしいものであつた。 この三人は、悲劇の大詰だとは夢にも思わないうちから、或る対照に気がついていた。彼ら自身は、妙に静かな点

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共産党とモラル 三・一五によせて

宮本百合子

三・一五というと、今日では日本の解放運動史の上に、知らない人のない記念日となった。四・一六とならべて今年もわれわれに記念される日であるけれども、大体こういう記念日の今日へのうけとり方というものはよく考えてみると、決して通り一ぺんのものではないと思う。三・一五の私たちへつたえる教訓は、一九二八年におこった大規模な共産党と共産主義者に対する弾圧は、これを機会に日

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共産党公判を傍聴して

宮本百合子

共産党公判を傍聴して 宮本百合子 三月十五日は三・一五の記念日だから共産党の公判を傍聴に行こうとお友達○○○さんに誘われました。わたしはこれまで新聞で公判のことをときどき読んでいましたが、どうもよく本当の様子が分りませんでした。正直に云うとこわいもの見たさのような気もあって○○○さんと一緒に東京地方裁判所へ出かけました。 分りにくい建物の細い横のようなところ

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共産党宣言

マルクスカール・ハインリッヒ

この日本譯は、最初、第三章を除いて、週刊『平民新聞』第五十三號(明治三十七年十一月十三日發行)に載せられたところ、忽ち秩序壞亂として起訴され、裁判の結果、關係者はそれぞれ罰金に處せられた。しかしその裁判の判決文には、『古の文書はいかにその記載事項が不穩の文字なりとするも、……單に歴史上の事實とし、または學術研究の資料として新聞雜誌に掲載するは、……社會の秩序

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共産食堂

クロポトキンピョートル・アレクセーヴィチ

「明日ある大都市をして、包囲またはそれに類する何等かの災禍に襲わしめよ。諸君は共産主義の思想がたちまちにして実現されんとするのを見るだろう。『パン』の問題、すなわちすべての人に食物を供給する問題が、その都市の緊急問題となって、ある個人の勤労に対する報酬などという問題は影をひそめてしまうだろう。各人の必要は、食料品の共同貯蓄に対して、各人の分け前を要求する権利

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共軛回転弾 ――金博士シリーズ・11――

海野十三

1 チャーチルが、その特使の出発に際して念を押していった。 「ええかね。なるたけ凄いやつを買取るんじゃ。世界一のやつでなけりゃいかんぞ」 そしてそっぽを向いて(これからは、何でも世界一主義で行って一釜起すんだ)と呟いた。 ルーズベルトが、その特使の出発に際して竹法螺声で命をふくめた。 「あの手におえないダブル・ヴイの三号に、博士を附けて買ってしまえ。第一手段

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兵営と文学

岸田国士

兵営と文学 岸田國士 こゝで所謂「戦争文学」の話をしようとするのではない。また、軍事教育と文学との関係を論じようとするのでもない。まして、軍人なるものが、如何に文学と関係の深い職業であるかを説かうとするのでもない。たゞ、次のやうな挿話を一括して、之に標題をつけるとすれば、まあ、かういふことにでもするより外ないと思ふのである。 僕は幼年学校にはひつて仏蘭西語を

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兵士の綱

今野大力

「引け!」 イチニ、イチニ、イチニ 雨が降る 秋に降る冷たい雨、落葉を叩く 頬を打つ流してはならぬ涙の様 イチニ、イチニ、イチニ 中途でぐうんと引かかる、よろ、よろ、よろ、重たいゆるがぬ万億の重量 「止まれ!」 班長、ちっとあおそすぎないか 六人の肩に絨衣を通して 肩に割り込む兵士の綱 グレンの代りに使われる 架橋工事の兵士達 雨の中、川をこいで綱を引く 「

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兵隊さん

槙本楠郎

おいらの兄さん兵隊さん しつかりおしよ、氣をおつけ ――右向け、右ツ 前エ進めツ! 金持アうしろで手を叩く (あぶない/\、××の的) おいらの兄さん、兵隊さん しつかりおしよ、氣をおつけ ――左向け、左ツ 前エ進めツ! 金持アうしろで手を叩く (あぶない/\、××の的) おいらの兄さん、兵隊さん しつかりおしよ、氣をおつけ ――廻れエ、右ツ 前エ進めツ!

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兵隊の宿

上司小剣

坂の上の、大きな松の樹のある村總代の家で、あるきを呼ぶ太鼓の音が、ドーン、ドーン、ドン/\/\/\/\と響いてゐたのは、ツイ先刻のことであつたが、あるきの猪之介は、今のツそりと店へ入つて來て、薄暗い臺所の方を覗き込みながら、ヒヨロ高い身體を棒杭のやうに土間の眞ん中に突ツ立てゝゐる。 店には誰れもゐないで、大きな眞鍮の火鉢が、人々の手摺れで磨きあげられたやうに

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