Vol. 2May 2026

图书

公共领域世界知识图书馆

共 14,981 本中显示 5,496 本

右門捕物帖 17 へび使い小町

佐々木味津三

1 ――ひきつづき第十七番てがらに移ります。 前回の七化け騒動がそもそも端を発しましたところは品川でしたが、今回はその反対の両国河岸。しかも、事件の勃発した日がまたえりにえって七月の七日。七日と申しますと、だれしも想起するものは今も昔ながらに伝わっているあのたなばた祭りです。土地土地、国々の風俗習慣によって、同じたなばた祭りもその祭り方に多少の相違があるよう

JA
仅原文

右門捕物帖 18 明月一夜騒動

佐々木味津三

1 右門捕物第十八番てがらです。 事の勃発いたしましたのは九月中旬。正確に申しますると、十三日のことでしたが、ご存じのごとくこの日は、俗に豆名月と称するお十三夜のお月見当夜です。ものの本によると、前の月、すなわち八月十五日のお月見には、芋におだんごをいただくから芋名月と称し、あとの月のこのお十三夜には枝豆をいただくから豆名月というのだそうですが、いずれにして

JA
仅原文

右門捕物帖 19 袈裟切り太夫

佐々木味津三

1 ――このたびはその第十九番てがら。 前回の名月騒動が、あのとおりあっけなさすぎるほどぞうさなくかたづきましたので、その埋め合わせというわけでもありますまいが、事の端を発しましたのは、あれから五日とたたないまもなくでした。もちろん旧暦ですから、九月も二十日を越えると、大江戸もこれからがもみじの秋で、上野のお山の枝々こずえに、ちらほらとにしき模様が見えるよう

JA
仅原文

右門捕物帖 20 千柿の鍔

佐々木味津三

1 その第二十番てがらです。 事の端を発しましたのは、ずっと間をおいて十一月下旬。奇態なもので、寒くなると決まってこがらしが吹く。寒いときに吹く風なんだから、こがらしが吹いたとてなんの不思議もないようなものなんだが、江戸のこがらしとなると奇妙に冷たくて、これがまた名物です。こやつが軒下をカラカラと吹き通るようになると、奇態なものできっと火事がある。寒くて火を

JA
仅原文

右門捕物帖 21 妻恋坂の怪

佐々木味津三

1 ――その第二十一番てがらです。 事件の起きたのは、年を越して、それも松の内の二日。 「めでたさも中ぐらいなりおらが春」――というのが俳諧寺一茶の句にありますが、中ぐらいでも、下の下の下々であっても、やりくり、七転八倒、夜逃げの名人であろうと、年が明けたとならばともかくもめでたいというよりいいようはない。ましてや、上の上の上々の大名諸侯が、言いようもなくめ

JA
仅原文

右門捕物帖 22 因縁の女夫雛

佐々木味津三

1 ――その第二十二番てがらです。 場所は少しく飛んで、いわゆる江戸八宿のうちの一つの新宿。竹にすずめは仙台侯、内藤様は下がり藤、と俗謡にまでうたわれたその内藤駿河守の広大もないお下屋敷が、街道ばたに五町ひとつづきの築地べいをつらねていたところから、当時は内藤新宿といわれたものですが、品川の大木戸、ここの大木戸、共に読んで字のごとくその大木戸が江戸との境で、

JA
仅原文

右門捕物帖 23 幽霊水

佐々木味津三

1 その二十三番てがらです。 時は真夏。それもお盆のまえです。なにしろ暑い。旧暦だからちょうど土用さなかです。だから、なおさら暑い。 「べらぼうめ、心がけが違うんだ、心がけがな。おいらは日ごろ善根を施してあるんで、ちゃあんとこういうとき、暑くねえようにお天道さまが特別にかばってくださるんだ。というものの――」 いばってみたが、伝六とて暑いのに変わりはないので

JA
仅原文

右門捕物帖 24 のろいのわら人形

佐々木味津三

1 ――その第二十四番てがらです。 時は八月初旬。むろん旧暦ですから今の九月ですが、宵々ごとにそろそろと虫が鳴きだして、一年十二カ月を通じ、この月ぐらい人の世が心細く、天地蕭条として死にたくなる月というものはない。 だからというわけでもあるまいが、どうも少し伝六の様子がおかしいのです。朝といえばまずなにをおいても駆けつけて、名人の身のまわりの世話はいうまでも

JA
仅原文

右門捕物帖 25 卒塔婆を祭った米びつ

佐々木味津三

1 その第二十五番てがらです。 事の起きたのは仲秋上浣。 鳶ノ巣山初陣を自慢の大久保彦左があとにも先にもたった一度詠んだという句に、 「おれまでが朝寝をしたわい月の宿」 という珍奇無双なのがあるそうですが、月に浮かれて夜ふかしをせずとも、この季節ぐらい、まことにどうも宵臥し千両、朝寝万両の寝ごこちがいい時候というものはない。やかまし屋で、癇持ちで、年が年じゅ

JA
仅原文

右門捕物帖 26 七七の橙

佐々木味津三

1 その第二十六番てがらです。 物語の起きたのは年改まった正月のそうそう。それも七草がゆのその七日の朝でした。起きても御慶、寝ても御慶の三カ日はとうにすぎたが、なにしろまだめでたいし、松の内はお昼勤めとお許しの出ているその出仕には時刻がまだ少し早いし、朝の間のそのひとときを、ふくふくとこたつに寝そべりながら、むっつり右門のお正月はやっぱりこれじゃといわぬばか

JA
仅原文

右門捕物帖 27 献上博多人形

佐々木味津三

1 ――その第二十七番てがらです。 場所は芝。事の起きたのは、お正月も末の二十四日でした。風流人が江戸雪といったあの雪です。舞いだしたとなると、鉄火というか、伝法というか、雪までがたいそうもなく江戸前に気短なところがあって、豪儀といえば豪儀ですが、ちらりほらりと夜の引きあけごろから降りだしたと思ったあいだに、たちまち八百八町は二寸厚みの牡丹雪にぬりこめられて

JA
仅原文

右門捕物帖 28 お蘭しごきの秘密

佐々木味津三

1 ――その第二十八番てがらです。 「一ツ、三月十二日。チクショウメ、ふざけたまねをしやがる。女ノ女郎めが、不忍弁天サマ裏ニテ、お参リノ途中、腰ニ結ンデおったる、シゴキを盗み取られたとなり。くやしいが、ベッピンなり。昼間のことなれば、やいの、やいのと、呼ンダレド、呼ンダレド、だれも助けに来ねえとなり。いと怪し」 「一ツ、三月十三日。雨降ッテ、だんなのキゲンワ

JA
仅原文

右門捕物帖 29 開運女人地蔵

佐々木味津三

1 その第二十九番てがらです……。 事の起きたのは四月初め。――もう春も深い。 小唄にも、浮かれ浮かれて大川を、下る猪牙船影淡く、水にうつろうえり足は、紅の色香もなんじゃやら、エエまあ憎らしいあだ姿、という穏やかでないのがあるとおり、江戸も四月の声をきくとまず水からふぜいが咲いて、深川あたり大川の里、女もそろそろ色づくが、四月はまた仏にも縁が深い。――花御堂

JA
仅原文

右門捕物帖 30 闇男

佐々木味津三

1 ――その第三十番てがらです。 事の起きたのは新緑半ばの五月初め。 さみだれにかわずのおよぐ戸口かな、という句があるが、これがさみだれを通り越してつゆになったとなると、かわずが戸口に泳ぐどころのなまやさしいものではない。へそまでもかびのただようつゆの入り、というのもまんざらうそではないくらい、寝ても起きても、明けても暮れても、雨、雨、雨、雨……女房と畳を新

JA
仅原文

右門捕物帖 31 毒を抱く女

佐々木味津三

1 その三十一番です。 江戸城、内濠の牛ガ淵。――名からしてあんまり気味のいい名まえではない。半蔵門から左へつづいたあの一帯が、今もその名の伝わる牛ガ淵ですが、むかしはあれを隠し井の淵ともいって、むしろそのほうが人にも世間にも親しまれる通り名でした。濠の底にありかのわからぬ秘密の隠れ井戸が六つあって、これが絶えずこんこんと水を吹きあげているために、その名が起

JA
仅原文

右門捕物帖 32 朱彫りの花嫁

佐々木味津三

1 その第三十二番てがらです。 ザアッ――と、刷毛ではいたようなにわか雨でした。空も川も一面がしぶきにけむって、そのしぶきが波をうちながら、はやてのように空から空へ走っていくのです。 まことに涼味万斛、墨田の夏の夕だち、八町走りの走り雨というと、江戸八景に数えられた名物の一つでした。とにかく、その豪快さというものはあまり類がない。砂村から葛飾野の空へかけて、

JA
仅原文

右門捕物帖 33 死人ぶろ

佐々木味津三

1 その第三十三番てがらです。 朝ごとに江戸は深い霧でした……。 これが降りるようになると、秋が近い。秋が近づくと、江戸の町に景物が決まって二つふえる。角兵衛獅子に柳原お馬場の朝げいこ、その二つです。 トウトウトウトウ……ハイヨウハイヨウ……と、まだ起ききらぬ朝の静かな大気を破って、霧をかき分け、町を越えながら、朝ごとにけいこの声が柳原お馬場一帯につづくので

JA
仅原文

右門捕物帖 34 首つり五人男

佐々木味津三

1 その第三十四番てがらです。 事の起きたのは九月初め。 蕭々落莫として、江戸はまったくもう秋でした。 濠ばたの柳からまずその秋がふけそめて、上野、両国、向島、だんだんと秋が江戸にひろがると、心中、川目付、土左衛門舟、三題ばなしのように決まってこの三つがふえる。もちろん、心中はあの心中、川目付は墨田の大川の川見張り、やはり死によいためにか、十組みのうち八組み

JA
仅原文

右門捕物帖 35 左刺しの匕首

佐々木味津三

1 その第三十五番てがらです。 鼻が吹きちぎられるような寒さでした。 まったく、ひととおりの寒さではない。いっそ雪になったらまだましだろうと思われるのに、その雪も降るけしきがないのです。 「おお、つめてえ、ちきしょう。やけにまた寒がらしをきかしゃがらあ。だから、ものごとの正直すぎるってえのはきれえなんだ。たまには寒中にほてってみろよ。冬だからたって、なにもこ

JA
仅原文

右門捕物帖 36 子持ちすずり

佐々木味津三

1 その第三十六番てがらです。 事の起きたのは正月中旬、えりにえってまたやぶ入りの十五日でした。 「えへへ……話せるね、まったく。一月万歳、雪やこんこん、ちくしょうめ、降りやがるなと思ったら、きょうにかぎってこのとおりのぽかぽか天気なんだからね。さあ行きましょ、だんな、出かけますよ」 天下、この日を喜ばぬ者はない。したがって、伝六がおびただしくはめをはずして

JA
仅原文

右門捕物帖 37 血の降るへや

佐々木味津三

1 その第三十七番てがらです。 二月の末でした。あさごとにぬくみがまして江戸も二月の声をきくと、もう春が近い。 初午に雛市、梅見に天神祭り、二月の行事といえばまずこの四つです。 初午はいうまでもなく稲荷まつり、雛市は雛の市、梅見は梅見、天神祭りは二十五日の菅公祭、湯島、亀戸、天神と名のつくほどのところはむろんのことだが、お社でなくとも天神さまに縁のあるところ

JA
仅原文

右門捕物帖 38 やまがら美人影絵

佐々木味津三

1 その第三十八番てがらです。 「ご記録係!」 「はッ。控えましてござります」 「ご陪席衆!」 「ただいま……」 「ご苦労でござる」 「ご苦労でござる」 「みなそろいました」 「のこらず着席いたしました」 「では、川西万兵衛、差し出がましゅうござるが吟味つかまつる。――音蔵殺し下手人やまがらお駒、ここへ引かっしゃい」 「はッ。心得ました。――浅草宗安寺門前、

JA
仅原文

グローリア・スコット号

ドイルアーサー・コナン

「そういえば資料がある。」と我が友人シャーロック・ホームズが言ったのは、冬のある夜のことで、我々は火を囲んで腰掛けていた。「念を押すが、ワトソン、一読の価値ありだ。ほら、くだんの『グローリア・スコット号』の怪事件の資料だ、特にこの文面は、治安判事のトレーヴァを読むなり戦慄させ死に至らしめたのだ。」 ホームズは引き出しから少し色あせた巻紙を取り出し、そのひもを

JA
仅原文

グロリア・スコット号

ドイルアーサー・コナン

「僕、ここに書類を持ってるんだがね……」 と、私の友人、シャーロック・ホームズは云った。それは冬のある夜のことで、私たちは火をかこんで腰かけていた。 「ワトソン君、これは君も一読しといていいものだろうと思うんだよ。そら例の『グロリア・スコット』の怪事件なんだが、それからこの手紙は、治安判事のトレヴォが、それを読んで、恐怖のため死んでしまった手紙なんだよ」 彼

JA
仅原文