Vol. 2May 2026

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公共领域世界知识图书馆

共 14,981 本中显示 8,736 本

イプセンの日本語訳

宮原晃一郎

イプセンの日本語譯 宮原晃一郎 感想といふところであるから、正確な材料によるものではないし、その上、そんな材料を集めたりすることに餘り興味を持たない私であるから、此處では、只永い年月、イプセンの日本語譯に接した折々に、感じたことを、思ひ出すまゝに書付けて見よう。 イプセン最初の紹介者は故坪内逍遙博士であつたといふが、私は知らない。私がイプセンの名を知つたのは

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日本語とアイヌ語の関係 ――マタギという言葉の存在について――

知里真志保

日本民族がその成立において複合民族であるように、その言語もかなり複雑な要素から成った混合語である。いまそのうちのアイヌ語からきた要素についてみると、そこにはエゾ、エミシ、アイヌなど種族を表わす名称をはじめ、北方特産の動植物や製品の名称、特殊の風俗習慣を示す言葉、山間の特殊の地形を表わす言葉などに、アイヌ語に由来した語がかなり多く見いだされる。日本本土の東北地

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『日本資本主義発達史講座』趣意書

野呂栄太郎

『日本資本主義発達史講座』趣意書 野呂栄太郎 世界経済恐慌の発展は全資本主義体制の、従ってまた日本資本主義制度の根底を揺り動かしている。資本主義の一般的危機の先鋭化、その上に進行しつつある恐慌の破局的深刻化、国際的諸対立の脅威的緊張、そして階級対立闘争の不可両立的激化――すべてこれらの、もはや蔽わんとして蔽いがたき事態の急激なる悪化は、支配階級及びその代弁者

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日本趣味映画

溝口健二

今度私が泉鏡花氏の『日本橋』を映画化するに当つて、それが諸々方々から大分問題にされたものであつた。 『もんだいに』と云ふと、話しは大きくなるが、鳥渡した言葉のはしくれにも、 『どうだい君、溝口君が芸者物を撮るさうぢやないか。日頃の唯物論は何処へケシ飛んで仕舞つたんだ!』 『いや、あの人間は、以前からあゝ云つた下町情話ものが得意なんだ。だから、つまりは昔にかへ

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日本の近代的探偵小説 ――特に江戸川乱歩氏に就て――

平林初之輔

探偵小説を、一般の小説から、特にきりはなして、これを特殊の眼で見、特殊の批評の尺度をもってこれにのぞみ、あたかも、探偵小説が、先天的に、特殊の価値を約束されているように見做すのは、間違いであると私は考える。 たとえば、コナン・ドイルが、結局イギリスにおいて二流の作家に過ぎないと仮定しても、それだから探偵小説が第二義的の芸術価値をしかもたぬとは言えない。それは

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日本の郷土芸能の為に

折口信夫

日本は、美しく清らかな郷土芸能の国である。これは事実であつて、誇張でも虚構でもない。其を相共目前に展観して、我々の民族性に対して、自ら信頼を持つやうにしたい。さう思つて我々は、戦争に先つ十数年の間、春毎秋毎の「郷土舞踊民謡の会」を催して来た。 口幅ひろく感じられるかも知れぬが、日本人らしい晴れやかな生活の実現が望ましかつたのである。その結果は単に予期にそふ成

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日本の釣技

佐藤惣之助

最近都市居住者の中に、恐ろしい勢ひをもつて流行してゆくものの一つに「釣り」がある。そして一部の識者の間には、釣りをスポーツ化せよの叫びがありスポーツ天国、釣り味を高唱する人さへ出て来た。 臨海国としての日本が、その周囲にスポーツ味のある釣りを、今更発見したやうに騒ぎ立てるのも妙であるが、元来遊釣といふものがその生活環境とよく同化してゐて、何等の特殊な感興も認

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日本の頭脳調べ ――特に自然科学者に就て――

戸坂潤

文化勲章受領者の九氏については、誰と云って文句のつくべき人はないだろう。自然科学者の本多光太郎、長岡半太郎、木村栄の三氏は国際的な大科学者であり、夫々斯界の長老であり、そして現役の大物であることに於て、正に適切だと云わねばならぬ。日本画家の横山大観、竹内栖鳳も動かぬ処である。洋画家で藤島武二と岡田三郎助の両氏もまず洋画から選ぶとすれば不思議でない。幸田露伴と

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日没の幻影

小川未明

〔人物〕 第一の見慣れぬ旅人 第二の見慣れぬ旅人 第三の見慣れぬ旅人 第四の見慣れぬ旅人 第五の見慣れぬ旅人 第六の見慣れぬ旅人 第七の見慣れぬ旅人 白い衣物を着た女 〔時〕 現代 遥かに地平線が見える。広い灰色の原には処々に黄色い、白い、赤い花が固って、砂地に白い葉を這って、地面から、浮き出たように、古沼に浮いているように一固り宛、其処此処に咲いている。少

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日清戦争異聞 (原田重吉の夢)

萩原朔太郎

日清戦争が始まった。「支那も昔は聖賢の教ありつる国」で、孔孟の生れた中華であったが、今は暴逆無道の野蛮国であるから、よろしく膺懲すべしという歌が流行った。月琴の師匠の家へ石が投げられた、明笛を吹く青年等は非国民として擲られた。改良剣舞の娘たちは、赤き襷に鉢巻をして、「品川乗出す吾妻艦」と唄った。そして「恨み重なるチャンチャン坊主」が、至る所の絵草紙店に漫画化

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日琉語族論

折口信夫

日琉語族論 折口信夫 完全な比較研究が、姑く望まれない。単に類似点を、日琉語族の間につきとめて行くと言ふ程度のものにとゞまるであらう。唯さう言ふ簡単な為事も、人文地理上の変革から、問題にせられなくなる時が来ないとも限らぬと思ふ。その不安から、この小論文は纏めておく気になつたのである。日琉同祖観による長いよしみの記念ともなれ、と思ふ記録に過ぎない。 日本語・沖

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ある日の経験

寺田寅彦

ある日の経験 寺田寅彦 上野の近くに人を尋ねたついでに、帝国美術院の展覧会を見に行った。久し振りの好い秋日和で、澄み切った日光の中に桜の葉が散っていた。 会場の前の道路の真中に大きな天幕張りが出来かかっている。何かの式場になるらしい。柱などを巻いた布が黒白のだんだらになっているところを見ると何かしら厳かな儀式でもあるように思われる。このようにして人夫等が大勢

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日置流系図

国枝史郎

日置流系図 国枝史郎 帷子姿の半身 トントントントントントン……トン。 表戸を続けて打つ者がある。 「それまた例のお武家様だ……誰か行って潜戸を開けてやんな」 こう忠蔵は云いながらズラリと仲間を見廻したが俺が開けようというものはない。 トントントントンとそう云っている間も戸外では続けざまに戸を叩く、森然森然と更けた七月の夜の所は本所錦糸堀でひたひたと並んでい

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日蔭の街

松本泰

日蔭の街 松本泰 一 歳晩の寂しい午後であった。私は、青い焔をあげて勢よく燃えさかっている暖炉の前へ、椅子を寄せて、うつらうつら煙草を燻らしていた。私の身のまわりは孰れも見馴れたもの計りで、トランクは寝台の下に投込んであり、帽子掛には二つの帽子と数本のステッキがある。飾棚の漆塗の小箱、貝細工の一輪挿、部屋の隅に据付けてある洗面台の下の耳のとれた水差、それから

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日記

知里幸恵

日記 知里幸恵 大正十一年六月一日 目がさめた時、電燈は消えてゐてあたりは仄薄暗かった。お菊さんが心地よげにすや/\と寝息をたてゝゐた。今日は六月一日、一年十二ヶ月の中第六月目の端緒の日だ。私は思った。此の月は、此の年は、私は一たい何を為すべきであらう……昨日と同じに机にむかってペンを執る、白い紙に青いインクで蚯蚓の這い跡の様な文字をしるす……たゞそれだけ。

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かげろうの日記

堀辰雄

半生も既に過ぎてしまって、もはやこの世に何んのなす事もなく生きながらえている自分だが、――一たい顔かたちだって人並でないし、これと云った才能もあるわけではないのだから、こんな風にはかない暮しをしているのも尤もの事だとは思うものの、只こうやってぼんやりと明し暮しているがままに、世の中に多い物語などをおりおり取り上げて、その端などを読んで見ると、ずいぶん有り触れ

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かめれおん日記

中島敦

かめれおん日記 中島敦 蟲有者。一身兩口、爭相也。遂相食、因自殺。――韓非子―― 一 博物教室から職員室へ引揚げて來る時、途中の廊下で背後から「先生」と呼びとめられた。 振返ると、生徒の一人――顏は確かに知つてゐるが、名前が咄嗟には浮かんで來ない――が私の前に來て、何かよく聞きとれないことを言ひながら、五寸角位の・蓋の無い・菓子箱樣のものを差出した。箱の中に

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日記より

牧野信一

私の日記には日の区ぎりがつけにくい、寝て、起る時間が、いつもあまりに滅茶苦茶だから――。 * 三人の友達が夫々不気嫌の床に就いてゐるので、だが一人は快く起き上つたといふことはきき、暫く会ひ損つてゐるので、会ひたく、兎に角三人のうちの一人でもを見舞ふつもりで汽車に乗つた。銀座へ出て、傍目も触らずに非常な速歩で歩いてゐると、だんだんに、どうして好いか解らない程な

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ともしい日の記念

片山広子

ともしい日の記念 片山廣子 終戦直後わが国にゐた外人たちの中で、兵隊さんたちはみんな一食づつきまつた配給であつたから、その人たちはそれでもよかつたが、家族づれの一家で軽井沢に暮してゐる人たちなぞ私たち以上にともしかつた。彼らは私たちのやうに蓮根や牛蒡は食べられず、たべ馴れた野菜の馬鈴薯とかきやべつ玉葱と、それにきまつた配給のパンを食べ一度一度に缶づめの肉をた

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日記と自叙伝

三木清

日記と自叙伝 三木清 三つの種類の人間がある。先づ他人の私事に妙に関心し、とりわけいはゆる醜聞を、ことに世間に名の知られた他人の醜聞を愛する人間がある。彼等はさういふ興味からいはゆる三面記事事件を喜ぶ。このやうな人間の興味は、今日ことに婦人雑誌などによつて巧に利用されてゐるところである。 第二の種類の人間は特にいはゆる英雄伝や偉人伝を読むことを好むやうに見え

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『かげろふの日記』解説

折口信夫

『かげろふの日記』解説 折口信夫 堀君 一 唐松の遅き芽ぶきの上を 夏時雨 はるかに過ぎて―― 黄にけぶる 山の入り日 堀君 二 冬いまだ 寝雪いたらず しづかに澄む 水音。 君ねむる。五分 十分――。 ほのかなる けはひののちに、 おのづから をひらく。 日のあたる明り障子 たゞ白じろと ひろがり 見し夢の かそかなる思ひに つゞく 堀君 三 みつまたの花

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日輪草 日輪草は何故枯れたか

竹久夢二

三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。 「こんな所に日輪草が咲くとは、不思議じゃあありませんか」 そこを通る人達は、寺内将軍の銅像には気がつかない人でさえ、きっとこの花を見つけて、そう言合いました。 熊吉という水撒人夫がありました。お役所の紋のついた青い水撒車を引張って、毎日半蔵門の方から永田町へかけて、水を撒いて歩くのが、熊さんの仕事で

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日食記

中谷宇吉郎

いよいよ世紀の日食が近づいて、この半月ばかりというものは、札幌の街は日食で大分賑かであった。新聞では日米科学戦というような言葉が盛に使われ、街では講演会や放送がたびたび行われた。 この頃急に忙しくなった私は、とても日食どころの騒ぎではなかった。しかし都会に住んでいて、居ながらに皆既食が見られるようなことは滅多に無いし、それに今度の機会を逃がすと、もう一生見ら

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