Vol. 2May 2026

图书

公共领域世界知识图书馆

14,981종 중 9,744종 표시

残されたる江戸

柴田流星

残されたる江戸 柴田流星 目次 江戸ッ児の教育 顔役の裔 三ヶ日と七草 揚り凧 藪入と閻魔 節分と鷽替 初卯と初午 梅と桜 弥助と甘い物 渡し船 汐干狩 山吹の名所 節句 筍めし 藤と躑躅と牡丹 初松魚 釣りと網 初袷 五月場所 花菖蒲 稗蒔 苗売り 木やり唄 浅草趣味 八百善料理 風鈴と釣忍 井戸がえ 箱庭と灯籠 定斎と小使銭 青簾 夏祭り 心太と白玉 川

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残肴の処理

北大路魯山人

残肴の処理 北大路魯山人 星岡時代、残肴を見て感あり、料理人一同に留意を促すゆえんを述べたことがある。 料理を出して、お客のところから残ってきたものを、他ではどんなふうに始末しているかわたしは知らない。わたしならその残肴を、お客がぜんぜん手をつけなかったもの、つけてもまだたくさん残っているもの、刺身は刺身、焼き魚は焼き魚というふうに整理して区分けし、これを生

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残雪

原民喜

青空に風呂屋の煙突がはっきり聳えてゐた。その左の方に外苑の時計台と枯木の梢が茫と冬日に煙ってゐた。もっと近いところには屋根の入り乱れた傾斜が、一方に雪を残して続いてゐた。雪があるので、そこの二階の縁側からは景色が立体的に見えた。立体的と云へば、この景色を眺めて争ってゐる二人の男の対比もまたさうであった。 一人はこの春さきの景色が煽情的だと云って頻りに嬉しさう

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残雪の幻像

中村清太郎

五月から六月にかけて、高根の雪が解けるにしたがい、山肌が処々に現われて来る。その山肌と雪とで作る斑紋が、見ようでは種々な物の形、例えば動物や人間などの姿に見えるものだ。その形は山肌が雪の中に黒く現わすのと、山肌に囲まれた雪が白く描くのとある。そういう形を山麓の農民は巧みに捕えて、何か身近な物の姿に見立て、昔から年々農事――稲作が主であるが――を始めるための頼

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殴る

小熊秀雄

殴る 小熊秀雄 (一) 俺はつくづくと考へる。世の中の奴らは、もちろん嘘で固まつてゐるといふ事実だ。 情なくなるから、あんまり他人さまのことはいふまい。手近なところで、俺の信じてゐる彼女の態度はどうだ、だんだん世間なみに嘘をおぼえこみ、なんにもないところから、鶏を飛び出させたりする手品師のやうな真似を始めだした。 ――真個うにお可笑な方ね、お金が無くなれば、

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段梯子の恐怖

小酒井不木

段梯子の恐怖 小酒井不木 「探偵趣味」第四号の配達された日、私を訪ねた友人Fは、室にはいるなり、 「もう来たかね?」といって、机の上にあった雑誌を、いきなり取り上げて、ページを繰り始めた。彼はことし三十七歳の独身の弁護士である。 「その十四ページを見給え、編集当番のNさんが、段梯子の恐怖ということを書いて居るから……」 「え?」と彼は雑誌をまるめ、びっくりし

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オフェリヤ殺し

小栗虫太郎

オフェリヤ殺し 小栗虫太郎 序、さらば沙翁舞台よ すでに国書の御印も済み 幼友達なれど 毒蛇とも思う二人の者が 使節の役を承わり、予が行手の露払い まんまと道案内しようとの魂胆。 何んでもやるがよいわ。おのが仕掛けた地雷火で、 打ち上げられるを見るも一興。 先で穿つ穴よりも、三尺下を此方が掘り 月を目掛けて、打上げなんだら不思議であろうぞ。 いっそ双方の目算

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アパートの殺人

平林初之輔

外濠に沿った電車通りに、山の手アパートという三層のビルディングがある。 地階は自動車のガレージになっていて、二階と三階とがアパートとして使われている。室の広さはまちまちで、借り手には、朦朧会社の事務所もあれば、某国大使館の書記官も居り、家族五人位で暮らしている者もあれば、独身者の会社員もあり、ダンサーが二人で一室を借りているのもあれば、終日蒼い顔をしてペンを

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殺人の涯

海野十三

殺人の涯 海野十三 「とうとう女房を殺してしまった」 私は尚も液体を掻き廻しながら、独り言を云った。 大きな金属製の桶に、その白い液体が入っていた。桶の下は電熱で温められている。ちょっとでも、手を憩める遑はない。白い液体は絶えずグルグルと渦を巻いて掻き廻わされていなければならない。液体は白くなって来たが、もっともっと白くならなければならないのだ。まだまだ掻き

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殺人狂の話 (欧米犯罪実話)

浜尾四郎

殺人という大罪を犯すには種々な動機がある。一番多いのは、怨恨とそれから利慾だろう。 怨みで人を殺すもの、金をとろう又は財産を得ようとして人を殺すもの、これ等はずい分数もあり日常の新聞紙上などにも盛んに出されるところだから一般にその理由はうなずく事が出来る。 ところがここに何等左様な原因がなくて人殺しを敢行する人間がある。彼らに「何故、人殺しをしたか」ときけば

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殺人迷路 06 (連作探偵小説第六回)

橋本五郎

見えざる敵 新橋駅で雑誌記者の津村と別れた探偵作家の星田は、そこから自動車を拾って一先ず自分の宅へ引上げてきた。 捕捉することの出来ない不安は、次第にじりじりと胸元へこみ上げてくる。つい、先程まで冗談だとばかり思っていた事が、急に恐ろしい現実となって襲いかかってきたのだ。しかも、この忌まわしい、好もしからざる事件に於て、自分はまんまと犯人の役割を背負込まされ

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殺人迷路 08 (連作探偵小説第八回)

浜尾四郎

十日の勝負 「いいえ、僕の云ってる事は決して嘘や空想じゃありません。たしかにあいつです。今お話したバーで見た怪しいあの男です」 星田代二は生れてはじめて検事局の調室に引張り出されて、差向いでいる二木検事に対して必死の弁明をやりはじめた。 二木検事は、警視庁から送局された書類を机の前におきながら、殆ど無表情で星田に相対して居る。 「ふん、君は本庁で取調べられた

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殺人迷路 09 (連作探偵小説第九回)

佐左木俊郎

洋装の女 どこで何をしていたのか、新聞記者の村井は、星田代二が検事の第一回訊問を受けた日、彼が警視庁へかえされたのと入れちがいに、検事局の構内に姿を現わした。しかも、彼は、今日がはじめての訪問ではないらしく、わき眼もふらず、真直ぐに、二木検事の調室に歩いて行って、特長のあるドアの叩き方をした。 書記がドアを開いた。 「どうだった、君?」 勝ち誇ったように、村

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殺人迷路 10 (連作探偵小説第十回)

甲賀三郎

親友? 仇敵? 疑問の洋装の女が、三映キネマの如月真弓! 寺尾に示されたスチールで、それを発見した津村は唸った。 雑誌記者津村がこの発見をした時と殆ど同時に、新聞記者村井は二木検事に、洋装の女が投身自殺を遂げた浦部俊子の妹らしいと云う推測を告げていた事を、読者諸君は承知せられている筈だ。 以上の二つの事実によって、津村と村井がバッタリと、如月真弓のアパートの

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殺された天一坊

浜尾四郎

殺された天一坊 浜尾四郎 一 あれ程迄世間を騒がせた天一坊も、とうとうお処刑となって、獄門に梟けられてしまいました。あの男の体は亡びてもあの悪名はいつ迄もいつ迄も永く伝えられる事でございましょう。世にも稀な大悪人、天下を騙し取ろうとした大かたり、こんな恐ろしい名が、きっとあの男に永く永くつき纏うに違いございませぬ。 私のようなふつつか者が廻らぬ筆をとりました

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殺生石

楠山正雄

殺生石 楠山正雄 一 むかし後深草天皇の御代に、玄翁和尚という徳の高い坊さんがありました。日本の国中方々めぐり歩いて、ある時奥州から都へ帰ろうとする途中、白河の関を越えて、下野の那須野の原にかかりました。 那須野の原というのは十里四方もある広い広い原で、むかしはその間に一軒の家も無く、遠くの方に山がうっすり見えるばかりで、見渡す限り草がぼうぼうと生い茂って、

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殺神記

田中貢太郎

殺神記 田中貢太郎 唐の開元年中、郭元振は晋の国を出て汾の方へ往った。彼は書剣を負うて遊学する曠達な少年であった。 某日、宿を取り損ねて日が暮れてしまった。星が斑に光っていた。路のむこうには真黒な峰が重なり重なりしていた。路は渓川に沿うていた。遥か下の地の底のような処で水の音が聞えていた。鳥とも蝙蝠とも判らないようなものが、きい、きい、と鋭い鳴声をしながら、

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殿さまの茶わん

小川未明

昔、ある国に有名な陶器師がありました。代々陶器を焼いて、その家の品といえば、遠い他国にまで名が響いていたのであります。代々の主人は、山から出る土を吟味いたしました。また、いい絵かきを雇いました。また、たくさんの職人を雇いました。 花びんや、茶わんや、さらや、いろいろのものを造りました。旅人は、その国に入りますと、いずれも、この陶器店をたずねぬほどのものはなか

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坂口安吾

畏友辰夫は稀に見る秀才だったが、発狂してとある精神病院へ入院した。辰夫は周期的に発狂する遺伝があって、私が十六の年彼とはじめて知った頃も少し変な時期だった。これ迄は自宅で療養していたが、この時は父が死亡して落魄の折だから三等患者として入院し、更に又公費患者に移されていた。家族達は辰夫の生涯を檻の中に封じる所存か、全く見舞にも来なくなった。 辰夫は檻の中で全快

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長谷川伸

『畸人伝』にもあるが清元の『保名』にもその名が残っている小西来山に、だれでも知っているだろう句がある。 けふの月ただくらがりが見られけり 句をただ句だけとしてみることがつまらないという考え方は、前の茨木理兵衛の「身の上や」でもそうだが、「けふの月」にいたっては殊にそうである。『今宮草』についてその前書きを見ると、この句は佳き戯曲小説と同じように打ってくるもの

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中野鈴子

わたしは子供のとき大変な甘えん坊で そしてあまやかされて育っていた あそびから帰るとすぐ母を呼び母をさがした 母はわたしをはなれて出かけることはできなかった 泣いて叫んでじたばたしたから けれどもスッカリ変わってしまった わたしは母を呼ばなかった 母には何もなかった あふれて流れる泪を拭いてくれる手も 伸びつつ円くなってゆく体の 体のなかのやわらかな芽生えも

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坂口安吾

畏友辰夫は稀に見る秀才だつたが、発狂してとある精神病院へ入院した。辰夫は周期的に発狂する遺伝があつて、私が十六の年彼とはぢめて知つた頃も少し変な時期だつた。これ迄は自宅で療養してゐたが、この時は父が死亡して落魄の折だから三等患者として入院し、更に又公費患者に移されてゐた。家族達は辰夫の生涯を檻の中に封じる所存か、全く見舞にも来なくなつた。 辰夫は檻の中で全快

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ネグリアダ

わが生の奧深く、微かなる聲のわれを呼ぶを感ず。 當來の命よ、眠れるわれを覺さむとして來るは汝か。 嗚呼、命、新らしき命……わが内臟はとどろきぬ、 岸破と跳りぬ。そはなれが呻吟の聲か接吻か。 なれこそは未知なれ。あるは恐る、悲に絶望に捧げむと、 わが血もてなれを養ひ、わが心もてなが心を形造るを。 しかすがに此の手を延べて、靜かなる慰撫の手振優しく、 命に醉ひし

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太宰治

母 太宰治 昭和二十年の八月から約一年三箇月ほど、本州の北端の津軽の生家で、所謂疎開生活をしていたのであるが、そのあいだ私は、ほとんど家の中にばかりいて、旅行らしい旅行は、いちども、しなかった。いちど、津軽半島の日本海側の、或る港町に遊びに行ったが、それとて、私の疎開していた町から汽車で、せいぜい三、四時間の、「外出」とでも言ったほうがいいくらいの小旅行であ

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