Vol. 2May 2026

图书

公共领域世界知识图书馆

14,981종 중 13,296종 표시

わかれ道

樋口一葉

わかれ道 樋口一葉 上 お京さん居ますかと窓の戸の外に來て、こと/\と羽目を敲く音のするに、誰れだえ、もう寐て仕舞つたから明日來てお呉れと嘘を言へば、寐たつて宜いやね、起きて明けてお呉んなさい、傘屋の吉だよ、己れだよと少し高く言へば、嫌な子だね此樣な遲くに何を言ひに來たか、又お餅のおねだりか、と笑つて、今あけるよ少時辛棒おしと言ひながら、仕立かけの縫物に針ど

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道ひらく

相馬御風

この二三日真黒なシマキ雲が時々海の方から吹き上げられて来て、すさまじい突風と共に霰となつて私達を脅かす。一しきりそれが過ぎ去ると、頭の上の空の一ところがケロリと晴れた青空と日の光を見せるのであるが、すぐに又真黒な雲が吹き上げられて来る。いよ/\冬がやつて来たのだ。 僅の晴間に二階の窓から山の方を見ると、すぐそこまでもう真白になつてゐる。山奥の村々はとうにもう

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おくのほそ道 01 凡例

杉浦正一郎

一 本書は『おくのほそ道』および門人曾良の『隨行日記』(ただし元祿二年九月一〇日以降の分は省略)を飜刻し、脚註を加えたものである。底本として前者は素龍清書本(福井縣愛發村、西村弘明氏藏)、後者は曾良自筆本(校註者藏)を用いた。兩者についての詳細は解説にゆずる。一 飜刻にあたっては左の要領によった。1 行移り・丁うつりは註しない。ただし、『おくのほそ道』は適宜

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おくのほそ道 02 おくのほそ道

松尾芭蕉

一 本書は『おくのほそ道』および門人曾良の『隨行日記』(ただし元祿二年九月一〇日以降の分は省略)を飜刻し、脚註を加えたものである。底本として前者は素龍清書本(福井縣愛發村、西村弘明氏藏)、後者は曾良自筆本(校註者藏)を用いた。兩者についての詳細は解説にゆずる。一 飜刻にあたっては左の要領によった。1 行移り・丁うつりは註しない。ただし、『おくのほそ道』は適宜

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おくのほそ道 04 解説

杉浦正一郎

芭蕉は寛永二一年(一六四四)伊賀上野赤坂町に、松尾與左衞門の二男として生まれた。松尾家は與左衞門の代に柘植から上野に移り、手習師匠を家職としていたという。芭蕉の幼名は金作、長じて甚七郎、別に忠右衞門とも稱した。十歳の頃、藤堂家の侍大將藤堂良精に召されて、その嗣子良忠に近侍した。良忠は芭蕉と同年輩で、俳諧を北村季吟に學び俳號を蝉吟と稱したが、芭蕉も主君とともに

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道の上で見た話

小川未明

いつものようにぼくは坂下の露店で番をしていました。 このごろ、絵をかいてみたいという気がおこったので、こうしている間も、物と物との関係や、光線と色彩などを、注意するようになりました。また坂の上方の空が、地上へひくくたれさがって、ここからは、その先にある町や、木立などいっさいの風景をかくして、たとえば、あの先は海だといえば、そうも思えるように、いくらも空想の余

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道中記

種田山頭火

道中記 種田山頭火 三月十二日 晴、春寒、笹鳴、そして出立――八幡。 昨夜は夜通し眠れなかつた、出立前に、アメリカ同人の贈物ポピーを播いてをく! 今朝の誓願、今後は焼酎を飲むまいぞ、総じて火酒は私に向かない、火酒を飲んでロクな事があつたタメシがない、火酒は地獄の使だ! やつとこさで、九時の汽車に乗れた、やれ/\、今日の新聞は車内で読ませて貰つた。 十一時、関

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ノンシャラン道中記 01 八人の小悪魔

久生十蘭

一九二九年の夏、大西洋に面した西仏蘭西の沿岸にある離れ小島に、二人の東洋人がやって来た。質朴な島の住人が、フランス語で挨拶して見たら、相応な挨拶をフランス語で返すので、これは多分フランス人なんだろうと決め込んで、以来、多少の皮膚の色の曖昧さや、少し黒すぎる髪の毛の色には頓着しないふうであった。 さて、この二人の東洋人が、この夏を過すことに決めた島というのは、

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ノンシャラン道中記 02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――

久生十蘭

一九二九年師走の三日、ここも北国の慣いとて、はや暮れかかる午後四時ごろ、巴里市第十一区三人姉妹街三番地なる棟割長屋。その六階の露台に敷布団を敷き、半裸体に引きむかれた狐面痩躯の東洋人コン吉が、隆々たる筋肉を西北の寒風に吹かせ、前後不覚にわなわなと震えながら、伊太利乾物屋の店先の棒鱈のように寝そべっているのは、当時欧羅巴を風靡している裸体主義の流行に迎合してい

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ノンシャラン道中記 03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――

久生十蘭

一、誦するはこれ極楽浄土の歌。一九二九年二月十日、巴黎なる里昂停車場を発したる地中海行特急第七九五号列車は、蒼味をおびた夜空に金色の火花を吹き散らしながら、いまや、アルルの近郊に近い平坦な野原に朦朧とたたずむ橄欖の矮林のそばを轟々たる疾駆を続けてゆく。 とある隔室の中を差し覗けば、豆電気を一つだけ点した混沌たる紫色の薄明りの中に、赤い筒帽を冠ったアルジェリの

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ノンシャラン道中記 04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――

久生十蘭

一、天機洩らすべからず花合戦の駆引き。駘蕩たる紺碧の波に浮ぶ、ここは「ニース突堤遊楽館」の華麗なる海上大食堂。玻璃張りの天蓋を透して降りそそぐ煦々たる二月の春光を浴びながら、歓談笑発して午餐に耽る凡百の面々を眺め渡せば、これはさながら魑魅魍魎の大懇親会。凝血腸詰をほおばる天使長ガブリエル、泰然と大海老を弄る馬糞紙製の小豚、羮をふき出す青面黒衣の吸血鬼、共喰い

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ノンシャラン道中記 05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――

久生十蘭

一、虎は人を恐れ人は虎を恐る。ニースのランピヤ港を出帆したM・Q汽船会社の Bon Voyage 号は『三百法コルシカ島周遊』の粋士遊客を満載し、眠げなる波の夢を掻き乱しながら、シズシズと春の航海を続けてゆく。 するとここに、上甲板の日よけの下に座を占め、ミシュラン会社の二十万分の一の地図の上に額を集め、しきりに論判する男女二人の若き東洋人があった。男子なる

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ノンシャラン道中記 06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――

久生十蘭

一、ココナットから象が出る馬耳塞の朝景色。マルセーユの旧港。――この四角な、鱒の孵化場のようなもののなかには、あらゆる船舶の見本と、あらゆる国籍が詰め込まれている。二本檣のゴエレット船、地中海の三角帆船、マルタ島のトロール船、バクウの石油船。そうかと思うと古風な三檣砲艦なんてのもいる。だから、独逸の潜水艦だってそのへんの水の中にくぐっていないわけのものではな

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ノンシャラン道中記 07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻

久生十蘭

一、鼻には鼻、耳には耳――現品取引。エークス鉱泉駅に約十分滞留したのち、汽車はブウルジェの湖畔の、水陸間一髪という際どいところを走っている。 車窓に蘆の葉がなびき、底石の青苔や、御遊泳中の魚族の鱗のいろも手にとるように見える。対岸、オオト・コムブの鬱蒼たる樅の林は、そのまま水に姿を映し、湖上の小舟は、いまやその林中に漕ぎいるのである。 汽車は水に浮び、舟は山

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ノンシャラン道中記 08 燕尾服の自殺 ――ブルゴオニュの葡萄祭り――

久生十蘭

一、因果は廻る小屋馬車の車輪。さわやかな初秋の風が吹きまわるある午後のこと、雛壇のように作られた、ソオヌ谷の、目もはるかな見事な葡萄畑の下を、通常、「無宿衆」と呼ばれる渡り見世物師の古びた小屋馬車が、やせた二匹の馬にひかれてのろのろと埃りをあげながら進んで行った。 このあたりは、「オオル・リイニュ」とか、「タン・ド・クウヴ」などという名高い赤葡萄酒を産出する

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道具と餌と天候

佐藤垢石

釣道具の呼称については解釈のつかぬものが多い。大概の釣人は知らぬがままに買っているのである。たとえばテグスの何毛柄とか、鈎の何厘とかいったように、何を基準としているか見当のつかぬのがある。知っている人には馬鹿々々しいことであるが、大衆のために簡単に解説しよう。 テグスの毛、厘、分というのは百本に対する重量を平均した一本の重量を呼ぶのである。飛切の極細をケヌキ

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道化とヸナス

ボードレールシャルル・ピエール

何といふすばらしい日だ! 広大な公園は、愛神の支配の下にある若者のやうに、太陽のぎら/\した眼の下に悶絶してゐる。 なべての物にあまねき此の有頂天を示す物音とてはない。河の水さへ眠つたやうである。ここには人の世の祭とは遙かに事かはつた、静寂の大饗宴があるのだ。 不断に増しつゝある光はます/\物象を輝かせてゐるやうだ。上気した花は、其の色の勢力を、空の瑠璃色と

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道化役

豊島与志雄

道化役 豊島与志雄 村尾庄司が突然行方をくらましてから、一年ほどたって、島村陽一は意外なところで彼に出会った。島村は大川を上下する小さな客船が好きで、むかし一銭蒸汽と云われていた頃には、わざわざ散歩の途をその船の中まで延したこともあるし、近頃でも、たまに何かの機会があると、少し廻り道をしても乗ってみた。街路が舗装で固められ、建物が直角の肩を並べ、交通機関が速

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道化玉座

ホワイトフレッド・M

アストリア大使主催の園遊会が開かれ、ほとんどの招待客が居残っていた。大多数の目的は若きモンテナナ国王に拝謁するためだ。おおむね、モンテナナ国王は期待に応えた。 常に紫雲のように恋愛の香りが漂う王宮、それがいや増したのはモンテナナ国のフリッツ王が西洋で后を探すと公言したからだ。ご存知のようにモンテナナ国は小国、ロシアとトルコの間に位置する。あとは山がち、風光明

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道化者

マンパウル・トーマス

いっさいの結末として、かつ立派な大詰として、いや、あのことの全体として、今残っているものは、生活――おれの生活――が「そのいっさい」、「その全体」がおれの心に注ぎ込む、あの嫌厭ばかりである。おれを絞めつけおれを駆り立て、おれをゆすぶってはまた投げ倒す、あの嫌厭である。おれにこのばかげたくだらない用向きを、残らずさっさと片づけて、逃げ出してしまうだけの動力を、

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道化芝居

北条民雄

どんよりと曇つた夕暮である。 省線の駅を出ると、みつ子はすぐ向ひの市場へ這入つて今夜のおかずを買つた。それを右手に抱いて、細い路地を幾つも曲つて、大きな工場と工場とに挟まれた谷間のやうな道を急ぎ足で歩いた。今日は会社で珍しく仕事が多かつたので、まだタイプに慣れない彼女の指先はひりひりと痛みを訴へたが、それでも何か浮き浮きと楽しい気持であつた。こんな気持を味ふ

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道化の華

太宰治

「ここを過ぎて悲しみの市。」 友はみな、僕からはなれ、かなしき眼もて僕を眺める。友よ、僕と語れ、僕を笑へ。ああ、友はむなしく顏をそむける。友よ、僕に問へ。僕はなんでも知らせよう。僕はこの手もて、園を水にしづめた。僕は惡魔の傲慢さもて、われよみがへるとも園は死ね、と願つたのだ。もつと言はうか。ああ、けれども友は、ただかなしき眼もて僕を眺める。 大庭葉藏はベツド

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道 ――ある妻の手紙――

水野仙子

一 まだ九月の聲はかゝらぬのに、朝夕のしんめりとした凉しさは、ちようど打水のやうにこの温泉場の俗塵をしづめました。二三日このかたお客はめつきりと減つて、あちこちの部屋にちらりほらりと殘つてゐる浴衣の人は皆申し合せたやうにおとなしくしてゐます。煙管を煙草盆に叩く音や、女中を呼ぶ手の音や、鈴の音が、絶間なく響く谿流の中に際立つてほがらかに聞えるのも、空虚になつた

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道学先生の旅

戸川秋骨

道學先生の旅 戸川秋骨 若い學生――斷つて置くが、男生女生兩方の學生である――を引率してといふ處だが、むしろ若い學生達に引率されての旅であつた。事實N夫人と私とは晝の辨當を用意して來なかつたので、學生連中の携帶したものからその何割づつかを分けて貰つて、やうやくそれに有りついたといふ事實をもつても解る。山中の一停車場で上りの汽車と竝んで停車したら、丁度その上り

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