
犬養健 · japonés
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犬養健 · japonés
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Original (japonés)
月のいゝ晩がつゞく。月がいゝとわたしは団扇を持つて縁先に出る。こんなわたしにしろ、また隣の二階家の四角な影の二尺ばかり上に照る月にしろ、月を見れば空想ぐらゐはする。わたしはきつと娘の事を考へる。 許嫁の男の両親のもとに家事見習に行つてゐるその娘から、このところ一寸便が来ない。このわたしを忘れて、目新らしい生活に夢中になつてゐるのかしらん。それならばまあいゝのだが、先日「今年の夏も」と男の子どもにせびられるに任せて、大磯で法外な値をつけられた貸別荘をどうやら借りた。其処へ若い二人も呼んで、賑やかな、わたしの心の保養になる夏を過さうと計画むで、此の間娘にその由を知らせてやつたのだが、何の音沙汰もない。先方の青木家で、わたしの遣り口を出過ぎてゐるとでも思つてゐるのではないか。万事質素な家なのだから。そして娘まで一所にさう思つてゐるのではないか。 わたしはどうも青木の家、殊にあの鷹雄といふ、聟になる筈の若者に対しては、つい神経過敏になつてしまふ。それはこの婚約が、わたしが最初不承知で、それからイヤ/\納得したものであるからだ。この婚約がわたしの昔の空想――娘の秋子がまだやつと小学校に行く頃から

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