海野十三
海野十三 · japonés
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Original (japonés)
間諜座事件 海野十三 1 これは或るスパイ事件だ。 ところで、これから述べてゆく其の物語の中には、日本人の名前ばかりが、ズラズラと出てくるのだが、読者諸君は、それ等を悉く真の日本人だと早合点されてはいけない。実はその間諜一味は××人なのである。本来ならば「丸木花作事本名張学霖は……」といった風に書くのが本当なのであるが、それを一々書くのが、煩しい程、××人が出てくることであるから、一つ思切って、味噌も糞も悉く日本人名前の方だけを書くことにした。 どうかお読みになっている裡に、錯覚を起さないようにして戴きたいと、お願いして置く。さて―― 2 霧の深い夕方だった。 秘密警備隊員の笹枝弦吾は、定められた時刻が来たので、同志の帆立介次と肩を並べてS公園の脇をブラリブラリと歩き始めていた。もう冬と名のつく月に入ったのだったが、今夜はそう寒くもなかった。しかしこう霧が降りていては、連絡をとるのに稍困難を覚えた。その連絡員というのがうまく自分達を探しあてて呉れればいいが……。 「ウーイ、こらさのさッ――てんだ」 向うから酔払いの声が聞える。顔も姿もまだ見えないが……。 弦吾は肘でチョイと同志帆立の脇
海野十三
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