岸田国士
岸田国士 · japonés
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岸田国士 · japonés
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Original (japonés)
公園の一隅――杉の木立を透して黒板塀が続いて見え、梅雨晴れの空に赤瓦が光つてゐる。 小径を前にして朽ちかけたベンチが一つ、サイダアの空瓶や新聞紙の丸めたのや蹈みつけられた折などがあたりに散らかつてゐる。 繭子を先頭に、麦太郎、海老子夫人が現はれる。繭子は水色のパラソルをさした二十三四歳の未婚者。麦太郎は金釦の制服に帽子だけ鳥打といふ怪しげないでたち、おまけに勿体らしく細身のステツキをついてゐるが、その手つきはまだ十三四の初々しさである。海老子夫人は、紋附の黒の夏羽織、傘はささずに、扇子をつかつてゐる四十四五の近代母性型、黙つてゐる時、上唇で鼻の孔を塞ぐ癖がある。 海老子 繭ちやんつたら、そんなに早く歩くと、母さんはついて行けないよ。繭子 だつて、麦ちやんが、うしろから背中をつつくのよ。麦太郎 (前に差出したステツキを引つ込めて)また、おれのせゐにしやがる。海老子 今日だけ大人しくしてゐておくれね、麦ちやん……。さ、ここでしばらく休んで行かう。かう息が切れてゐては、院長さんとお話もできやしない。(ハンケチを敷いてベンチに腰をおろす)繭子 汚れてやしなくつて……(母のする通りにす
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