小酒井不木
小酒井不木 · japonés
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小酒井不木 · japonés
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Original (japonés)
「もうじき、弘ちゃんが帰ってくるから、そうしたら、病院へつれて行って貰いなさい」 由紀子は庭のベンチに腰かけて、愛犬ビリーの眼や鼻をガーゼで拭ってやりながら、人の子に物言うように話すのであった。 「ほんとうに早くなおってよかったわねえ、お昼には何を御馳走してあげましょうか」 ビリーはまだ、何となく物うげであった。彼は坐ったまま尾をかすかに振るだけであった。呼吸器を侵されて、一時は駄目かと思われるほどの重病から、漸く恢復したこととて、美しかった黒い毛並も色を失って、紅梅を洩れる春の陽に当った由紀子の白いきめを見た拍子に、一層やつれて見えるのであった。 「これでいい。どれ、見せて頂戴、まあ、綺麗になったこと」 拭き終った由紀子は、こう言いながらガーゼを捨てて、エプロンのポケットから、ビスケットを取り出してビリーに与えた。ビリーは、あまえるようにして、由紀子の股に、咽喉のあたりをぴったりつけて食べるのであった。 由紀子は暫くの間、自分もビスケットを食べながら、一度は傷いたことのある肺臓へ、今はふっくりとした胸壁を上下させながら、春の空気を思う存分呼吸した。弟の弘と二人暮しの閑寂な生活で、ビリ
小酒井不木
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