鈴木三重吉 · 일본어
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원문 (일본어)
冷吉は自分には考へる女がなかつたものだから、讀んだ物の中の、赤い鳥を遁がして出て行く女を、自分の女にして考へてゐた。そのために自分に女のないのが餘計に暗愁を増すやうな事もあつたけれど、それでも外に何もないのだから、やつぱりその女を考へずにはゐられなかつた。 それは表紙が好きだから買つて來た、譯したものを集めた、或本に出てゐた小説であつた。冷吉はいつも、その女が家から遁げて出かけて、窓の鳥籠を下しに引き返すパセイジを考へ浮べるのが癖になつてゐた。 その本は母に見附けられて、間もなく取り上げられて了つたから、その小説の作者の名前も、耳馴れぬ長い外國名前だつたといふ事しか記憶してゐなかつた。けれども、冷吉にはもとよりそんな事はどうでもよかつた。何の本でもたゞ戀の事さへ書いてあれば、解らないところがあつてもいゝから、ずん/″\貪つて讀んでゐた。 戀の女はグレツチエンといふ女である。そこはオランダの、何とかいふ、昔からの物の蹟の多い、古い町であつた。相手の青年畫家は、フランスからこの町へ來て、こゝの女のしめりつぽい碧い目と、琥珀色の絹のやうなふさ/\しい髮と、純白な裾長い着物を着た、典雅な姿を寫
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鈴木三重吉
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