薄田泣菫
薄田泣菫 · japonés
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薄田泣菫 · japonés
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Original (japonés)
水仙の幻想 薄田泣菫 すべての草木が冬枯れはてた後園の片隅に、水仙が五つ六つ花をつけてゐる。 そのあるものは、肥り肉の球根がむつちりとした白い肌もあらはに、寒々と乾いた土の上に寝転んだまま、牙彫りの彫物のやうな円みと厚ぽつたさとをもつて、曲りなりに高々と花茎と葉とを持ち上げてゐる。 白みを帯びた緑の、女の指のやうにしなやかに躍つてゐる葉のむらがりと、爪さきで軽く弾いたら、冴え切つた金属性の響でも立てさうな、金と銀との花の盞。 その葉の面に、盞の底に、寒さに顫へる真冬の日かげと粉雪のかすかな溜息とが、溜つては消え、溜つては消えしてゐる。 水仙は低く息づいてゐる。金と銀との花の盞から静かにこぼれ落ちる金と銀との花の芬香は、大気の動きにつれて、音もなくあたりに浸み透り、また揺曳する。ぼろぼろに乾いたそこらの土は、土塊は、その香気のために絶えず焚き籠められ、いぶし浄められている。水仙は多くの美しい生命をもつものと同じやうに、荒つぽい、かたくなな土の中から生れいでながら、その母なる土を浄めないではおかないのだ。 すべての香気は、人の心に思慕と幻想とを孕ませる。私は水仙の冷え冷えとした高い芬香に、
薄田泣菫
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