中原中也 · 일본어
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원문 (일본어)
明治座に吉右衛門の勧進帳が掛かつてゐる、連日満員である――と電車の中で隣り客の話してゐるのを聞いて、なんとなく観に行きたくなつたのであつた。観れば何時もながら面白く感ずるのだが、観るまでは大変憶怯で、結局一年に一度か二度しか歌舞伎を覗くことはないのが私のこれまでである。「観たいな……観よう!」と、電車が濠端を走つてゐる時思ひ定めた、「でもまた観ないでしまふんだらうな」とそのすぐあとでは思ふのだつた。明け放された窓からは初夏の風がサカンに頬や帽子の鍔に吹きつけてゐた。 それから二三日してからのことであつた。朝十一時に目が覚めた。これは私にしては、余程早起きなのであつた。私は独りで一軒の家に住んでゐて、毎夜、夜明近くまで読書する。昼間は落付かないし、出掛けてもさして面白くないので、私には朝早く起きることは大変時間の損失なのだ。それで何時も目が覚めるのは、大抵午後の二時頃だ。 で、「今日明治座に行けばゆける」と思つた。 本を売つて一円五十銭ばかり出来ると、明治座の見料が出来た。それから往復の電車賃を差引くと、やつと五等の入場料が残るだけで心細かつた。三時半から、夜の十一時近くまで、食事は取れ
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中原中也
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