久生十蘭
久生十蘭 · japonés
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久生十蘭 · japonés
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Original (japonés)
一 まだ十時ごろなので、水がきれいで、明るい海底の白い砂に波の動きがはっきり映る。その白い幻灯のなかで、小指の先ぐらいの小さな魚がピッピッとすばやく泳ぎ廻っている。 硝子細工のような透明な芝蝦の子。気取り屋の巻貝。ゼンマイ仕掛けのやどかり。……波のうねりが来るたびに、みんないっしょくたになって、ゆらゆらと伸びたり縮んだりする。 「わァい、やって来たぞォ」 「やっつけろィ、沈めてしまえ」 「助けてえ、落ちる、落ちる」 渚から二十間ばかり沖へ、白ペンキ塗りの一間四方ぐらいの真四角な浮筏を押し出して、八人ばかりのお嬢さんたちが、二組に分れて、夢中になってあがりっこをしている。 手懸りはないし、ちょっと力を入れるとすぐ傾いでしまうので、なかなかうまく這いあがれない。 骨を折って、ようやくの思いで攀じのぼると、筏の上は水に濡れてつるつるしているし、敵方がすぐ脚を引っぱりにくるので、わけもなく、またボチャンと水の中へ落ちてしまう。 敵方は、海岸から馳せ集まった混成軍。味方は、詩人の芳衛さん、絵の上手なトクべえさん、陽気なピロちゃん、男の子の鮎子さんの四人。日本女学園のやんちゃな連中で、片瀬の西方に
久生十蘭
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