Vol. 2May 2026

도서

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14,981종 중 11,016종 표시

発端・電話事件

式場隆三郎

夏目漱石は家人のすすめで、やむなく電話を買ったが、うるさいからといってしばらく受話器をはずさせておいたという。自分の方からはかけるが、人からの呼出しには応じないわけである。これは漱石の神経症状のみられたころの奇行として、重大な意味をもたせてよいものか、反対にユーモラスな悪戯として笑ってすませるべきだろうか。それとも単なるゴシップで、事実無根であったろうか。

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発行所の庭木

高浜虚子

発行所の庭木 高浜虚子 発行所の庭には先づ一本の棕梠の木がある。春になつて粟粒を固めた袋のやうな花の簇出したのを見て驚いたのは、もう五六年も前の事である。それ迄棕梠の花といふものは、私は見た事がなかつたのである。見た事はあつても心に留まらなかつたのである。それがこの家に移り住むやうになつて新しく毎日見る棕梠の梢から、黄いろい若干の袋が日に増し大きくなつて来る

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おさなごを発見せよ

羽仁もと子

おさなごは、子宝のなかのさらに貴い宝です。この生きた宝物を新しい心でながめていると、あらゆる喜びとあらゆる望みが、つぎつぎとそのなかに発見されて、じっとしてはいられない気になります。 まず第一に、いま生まれたみどりごが、お産婆の手よりも何よりも、自分で生きる力をあたえられているのだということを、たしかに自覚している母親は幾人あるでしょう。都会の新式の家にすむ

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ムジナモ発見物語り

牧野富太郎

ムジナモ発見物語り 牧野富太郎 じつとしていて静かに往時を追懐してみると、次から次に、あの事この事と、いろいろ過去の事件が思い出される、何を言え九十余年の長い歳月のことであれば、そうあるべきである筈なのである。 しかし、ふつうのありふれた事柄は、たとえ実践してきた自身のみには、多少の趣きはあるとしても、他人には別にさほどの興味も与えまいから、そこで私はその思

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登つていつた少年

新美南吉

一年一回の学芸会が近づいて来た。小さい村の二百に充たない小さい魂は二月も前から小鳥が春を待つやうに待つてゐた。この頃になると少年少女達の眼は急に注意深くなつて先生のどんな小さな表情、どんな微かな挙動をも見のがさない。特に成績がよくて学芸会に出ることを約束されてゐる児童達がさうだつた。 遂々或る日先生が口をきつた。それは唱歌の時間が終りかけたときだつた。その時

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登山の朝

辻村伊助

登山の朝 辻村伊助 八月一日はブンデスタークだ、スウィス開国の記念日である。 二階の寝室で目ざましがチリチリ鳴り出した、腕時計の針はちょうど午前一時を示している、いぎたなく寝込んでしまった近藤君をたたき起こして、隣の室に出ると、上からガイドの連中が降りて来た。外は、山稜にたち切られた空に星が冷たくまたたいて、風はないが非常に寒い。入口の水たまりは、むろん、厚

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登山談義

木暮理太郎

八月二十日於霧ヶ峰「山の会」講演大意、後補筆 昔からお談義を聞かせるのは大抵老人と極っているようで「またお談義か、うんざりするな」というようなことは、日常見聞する所であります。事実、相手の好むと好まざるとを問わず、聞かせたがるのが老人のお談義でありますから、私の話題を「登山談義」ときめた石原さんは、誠に気の利いた題を選んで呉れたものと感心したのでありますが、

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登山趣味

正宗白鳥

日本は四面海に囲まれていながら、海洋の文学が乏しい。海上生活を描いた傑れた文章が無い。しかし、山岳に関する文章は、明治以後にも可成り現れているようである。 私は山を好む。それは山の空気は下界とは異り、爽やかであるためである。山を好むと云っても、身体羸弱であるため、実際、高山へ登ったことは殆んど無いのだ。最もよく登った山は故郷の後ろの山で、年少の頃から老年の今

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白ヘビ

グリムヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール

いまからずっと、むかしのこと、あるところにひとりの王さまが住んでおりました。その王さまのかしこいことは、国じゅうに知れわたっていました。とにかく、王さまの知らないことは、なにひとつないのです。どんなにないしょのことでも、空をつたわって、王さまのもとに知れるのではないかと思われるほどだったのです。 ところで、王さまにはかわった習慣がひとつありました。それは、ま

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白いくま

小川未明

そこは、熱い国でありました。日の光が強く、青々としている木立や、丘の上を照らしていました。 この国の動物園には、熱帯地方に産するいろいろな動物が、他の国の動物園には、とうてい見られないほどたくさんありましたが、寒い国にすんでいる動物は、なかなかよく育たないものとみえて、あまり、数多くはありません。その中に、一ぴきの白いくまが、みんなから珍しがられ、またかわい

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白井明先生に捧ぐる言葉

坂口安吾

白井明先生に捧ぐる言葉 坂口安吾 先ごろの本欄に僕の「風報」にかいた「天皇陛下に捧ぐる言葉」を評して俗うけを狙った媚態露出だとのことであるが、白井明先生の鑑賞眼は浅薄低俗と申さなければならない。 あの文章にこもる祖国へよせる僕の愛情や、あれを書かずにいられなかった情熱を読みとることができないとは、白井先生が頃日書く意味もない駄文ばかり書いてるせいなのである。

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白い光と上野の鐘

沼田一雅

白い光と上野の鐘 沼田一雅 私は『白い光り』と『上野の鐘』の二題に就いて、ざっと荒筋丈けをお話しようと思う、真に凄い怖いというようなところは、人々の想像に一任するより外は無い。それに何うもこの怪談というやつは再聞のことが多い。その中でもまだあまり人に話したことのない比較的最も深い印象を与えられたものというと、突嗟の場合先ずこの二題を推す。 美術学校創立当時の

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白南風

北原白秋

白南風は送梅の風なり。白光にして雲霧昂騰し、時によりて些か小雨を雜ゆ。欝すれども而も既に輝き、陰濕漸くに霽れて、愈に孟夏の青空を望む。その薫蒸するところ暑く、その蕩搖するところ、日に新にして流る。かの白榮と言ひ、白映と作すところのもの是也。蓋し又、此の白映の候に中りて、茲に我が歌興の煙霞と籠るところ多きを以て、採つて題名とす。もとより本集の歌品秋冬に尠く、春

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白南風

北原白秋

白南風は送梅の風なり。白光にして雲霧昂騰し、時によりて些か小雨を雑ゆ。鬱すれども而も既に輝き、陰湿漸くに霽れて、愈に孟夏の青空を望む。その薫蒸するところ暑く、その蕩揺するところ、日に新にして流る。かの白栄と言ひ、白映と作すところのもの是也。蓋し又、此の白映の候に中りて、茲に我が歌興の煙霞と籠るところ多きを以て、採つて題名とす。もとより本集の歌品秋冬に尠く、春

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白い呼吸

原民喜

おでん屋の隅で、ビヤー・ホールの卓上で、或ひは喫茶店のボックスで屡々繰り返される極くありふれた会話の一形式がある。 どうも時代が代ってしまひましたな。今の若い連中なんか何だかまるで僕達には見当がつかない。それにつけても僕達が若い頃は何と云っても恵まれてましたね。――さう云って、四十代の男が二人盃で友情を温めながら夜を更かしてゐる。 どうも僕達だけが悩み通した

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白塔の歌 ――近代伝説――

豊島与志雄

方福山といえば北京でも有数な富者でありました。彼が所有してる店舗のなかで、自慢なものが二つありました。一つは毛皮店で、虎や豹や狐や川獺などをはじめ各種のものが、一階と二階の広間に陳列されていまして、北京名物の一つとして見物に来る旅行者もあるとのことでした。他の一つは茶店でありまして、昔は帝室の茶の御用を務めていたという由緒が伝えられていました。 この方福山が

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白い壁

本庄陸男

白い壁 本庄陸男 一 とうとう癇癪をおこしてしまった母親は、削りかけのコルクをいきなり畳に投げつけて「野郎ぉ……」と喚くのであった。 「いめいめしいこの餓鬼やあ、何たら学校学校だ。この雨が見えねえか! 今日は休め!」 「あたいは学校い行くんだ」 富次は狭い台所ににげこんでそう口答えをした。しばらく彼はそこでごとごといわせていたが、やがて破れ障子の間からするり

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白壁のうち

小川未明

私は、学校にいるとき、いまごろ、お母さんは、なにをなさっていらっしゃるだろうか、またおばあさんは、どうしておいでになるだろうか、と考えます。すると、おうちのようすが、ありありと、目にうつります。 「ああ、お母さんは、おせんたくをなさって、もう、おわったころだ。」 「いまごろ、おばあさんは、いつもの場所にすわって、眼鏡をかけ、お仕事をなさっているだろう。」と、

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白い小犬を抱いた女

田中貢太郎

某夜、某運転手が護国寺の墓地を通っていると、白い小犬を抱いた女が来て車を停めた。そこで運転手は女の云うままに逢初橋まで往くと、女が、 「ちょっと待っててね」 と云って、犬を抱いたままおりて、傍の立派な門構の家へ入って往ったが、一時間近くなって出て来ないので、運転手はしかたなしにその家へ往った。すると一人の老婦人が出て、 「私の家には、女の子はいないのですが」

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白峰山脈縦断記

小島烏水

白峰山脈縦断記 小島烏水 緒言 前年雨のために失敗した白峰山登りを、再びするために、今年(四十一年)は七月下旬高頭式、田村政七両氏と共に鰍沢へ入った、宿屋は粉屋であった、夕飯の終るころ、向い合った室から、一人の青年が入って来た、私たちが、先刻から頻に白峰、白峰と話すのを聞いて、もしやそれかと思って、宿帳で、姓名を見てそれと知った、というので同行を申し込まれた

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白帝城

北原白秋

白帝城 北原白秋 「ほら、あれがお城だよ。」 私は振り返つた。私の後ろからは円い麦稈帽に金と黒とのリボンをひらひらさして、白茶の背広は濃い花色のネクタイを結んだ、やつと五歳と四ヶ月の幼年紳士がとても潔よく口をへの字に引き緊めて、しかもゆたりゆたりと歩いてゐた。地蔵眉の眼が大きく、汗がぢりぢりとその両の頬に輝いてゐる。 名鉄の電車を乗り捨てて、差しかかつた白い

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白い影

小川未明

夏の日のことでありました。汽車の運転手は、広い野原の中にさしかかりますと、白い着物を着た男が、のそりのそりと線路の中を歩いているのを認めました。 このあたりには人家もまれであって、右を見ても左を見ても、草の葉がきらきらと、さながらぬれてでもいるように、日の光に照らされて光っていました。また、遠近にこんもりとした林や森などが、緑色のまりを転がしたようにおちつい

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