Vol. 2May 2026

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釘抜藤吉捕物覚書 12 悲願百両

林不忘

一 ひどい風だ。大川の流れが、闇黒に、白く泡立っていた。 本所、一つ目の橋を渡りきった右手に、墓地のような、角石の立ち並んだ空地が、半島状に、ほそ長く河に突き出ている。 柳が、枝を振り乱して、陰惨な夜景だった。三月もなかば過ぎだというのに、今夜は、ばかに寒い。それに、雨を持っているらしく、濡れた空気なのだ。 その、往来からずっと離れて、水のなかへ出張っている

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釘抜藤吉捕物覚書 13 宙に浮く屍骸

林不忘

一 空はすでに朝。 地はまだ夜。 物売りの声も流れていない。 深淵を逆さに刷くような、紺碧のふかい雲形――きょう一日の小春日を約束して、早暁の微風は羽毛のごとくかぐわしい。 明け六つごろだった。朝の早い町家並びでも、正月いっぱいはなんと言っても遊戯心地、休み半分、年季小僧も飯炊きも、そう早くから叩き起されもしないから、夜が明けたと言っても東の色だけで、江戸の

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釜ヶ崎

武田麟太郎

釜ヶ崎 武田麟太郎 カツテ、幾人カノ外来者ガ、案内者ナクシテ、コノ密集地域ノ奥深ク迷ヒ込ミ、ソノママ行先不明トナリシ事ノアリシト聞ク――このやうに、ある大阪地誌に下手な文章で結論されてゐる釜ヶ崎は「ガード下」の通称があるやうに、恵美須町市電車庫の南、関西線のガードを起点としてゐるのであるが、さすがその表通は、紀州街道に沿つてゐて皮肉にも住吉堺あたりの物持が自

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釜沢行

木暮理太郎

都門の春はもう余程深くなった。満目の新緑も濁ったように色が濃くなって、暗いまでに繁り合いながら、折からの雨に重く垂れている。其中に独り石榴の花が炎をあげて燃えている火のように赤い。それが動もすれば幽婉の天地と同化して情熱の高潮に達し易い此頃の人の心を表わしているようだ。此際頬杖でも突きながら昔の大宮人のように官能の甘い悲哀に耽るのも、人間に対する自然の同情を

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原民喜

針 原民喜 飛行機を眺めてゐたら朝子の頬にぬらりと掌のやうな風が来て撫でた。ふと、そこには臭ひがあって、彼女の神経は窓に何か着いてゐるのではないかと探った。とどかないところにあって彼女を嘲弄してゐるのは何だらう、銀翼も今朝は一寸も気分を軽くはしてくれない。その時天井の板がピンと自然にはじける音をたてた。人気のない家にゐるのが意識されて、視るとやはりゐた。蟻が

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針木峠の林道

木暮理太郎

針木峠は人も知る如く、明治九年に新道が開鑿され、数年の後にそれが再び破壊されてしまってからは、籠川の河原や雪渓を辿ることなしに峠を通過することは殆んど不可能であった。若し之を避けて迂廻しようとすれば、更に多くの困難と危険とに遭遇しなければならぬ。それが為に針木越は悪絶険絶を以て世に鳴り渡った。富直線の未だ開通せざる以前に、信州方面から立山へ登るには大抵此峠を

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針金細工の詩

佐藤春夫

「針金細工で詩をつくれ」 ――といふのは、わが畏友堀口大学の一般詩人に対する忠告であつて、亦、実に彼が近代詩の創作に赴かんとするに当つての宣言であつたやうに思はれる。いはゆるウヱットな詩情を放れて、ドライなところに詩を求めようとしたのでもあらうかと思ふ。かくて彼は感傷の野に詩の花を摘まず、知性の山に詩の石を求めた。 彼のゆゆしい志は、不敏なわたくしにもわから

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中谷宇吉郎

この近年、日本中到るところで、釣が大流行のようである、實際のところ、釣くらい面白いものは、外に一寸あるまい。 この頃、無暗と忙しくて、ゆるゆると魚釣りに時を忘れるというような機會には、滅多に惠まれない。それだけに、子供の頃、北陸の湖の畔に育った私などには、昔の思い出がなつかしまれる。五寸もある鮒を釣り上げて、それが藻にからんだ時の、あの緊張感のようなものは、

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ガラガラ釣

佐藤垢石

小田原の筑紫誠一氏から、海岸でガラガラの投げ込み釣が大そう面白いからやって来ないか、という手紙が来たので、十六日午後から行って見た。ガラガラ釣とは、リール竿の海釣である。金属で作ったリールでなく、小田原の刳り物屋が作った木製の大きなリールで、それに約四十尋の人造テグスの太い道綸を巻き込み、竿は二本継一丈位。すこぶる頑丈に出来ている。鈎は二本の枝鈎で長い方が三

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釣十二ヶ月

正木不如丘

二日早起諏訪湖畔から小淵沢迄汽車、富士見駅から超大型のリユツク・サツクを背負つて、名取運転手乗り込む。去年正月伴れて行つた小使君は、御勘弁願ひますと逃げてしまつた。穴釣りの面白さは分つても、寒さには降参したらしい。名取のリユツク・サツクには、炭二貫目、石油缶を二つぎりにした火鉢二ツ、それに餅一臼は入つて居るだらう。 小淵沢でしばらく待つと東京からの夜行がつく

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釣場の研究

佐藤垢石

釣人の気質にはいろいろある。けれど大別すると、大量に魚を釣りたい、その目的のためには他人の迷惑も顧みない、という人と、釣れぬでもよし、若し釣れれば運がいいのだ、一日水に親しんだだけで何の不足も感じない、という気持の人との二種になるようである。いずれもその人の性から来るものであるからどうということはないが、私は後者の気分を尊び度いと思う。とはいうものの、沢山魚

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釣り師の心境

坂口安吾

釣り師の心境 坂口安吾 私は妙に魚釣りに縁のあるあたりに住んできたが、小田原で三日間ぐらい鮎釣りをした以外は魚を釣ったことがない。先日もお医者さんから、早朝の魚釣りなどは健康によろしいから、とすゝめられたが、なるほど今住むところも、わざ/\東京から釣りにくる人があって、それを目当てのボート屋などもある土地だが、釣りをする気持にはなれないのである。 駅前のカス

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釣心魚心

佐藤惣之助

最近の釣界の傾向として、唯釣ればいいといふ濫獲的な傾向が無くなつて、いかにして釣るかどうして釣れるか、といふ研究的な態度が多くなつて来たのは、先づ喜ぶべき傾向であらう。 尤もそれは、魚も昔のやうに不断には釣れなくなつたのにも帰因してゐるが、とにかく釣人にインテリゲンチヤが増加して来て、魚の習性や環境まで研究し、いかに巧緻に釣るか、いかに釣つて愉しむか、その心

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釣れない時 君は何を考へるか

佐藤惣之助

フイロソフイストは、「人は考へる為めに生れて来た」といふが、われわれフアンテエジストは、「人は空想する為めに生れて来た」と云つてもよい程、用もない時は空想ばかり駛らせてゐる。殊に一個の文章を書かうとする前、一つの考案を纏める前、さういふ時には、この空想の加速度によつて、多くその文章が破棄されることすらある。従つてその空想の奔馬は自在に荒れ狂つて、遂には果てし

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釣聖伝

佐藤垢石

幸田露伴博士は凝り屋で有名である。文学の方は本職であるから、別として、一般科学の知識に通暁して居て、家庭の道具でも、遊戯の機械でも自分の手でひねくって見なければ承知しない。 先生の趣味は格別で、利根川に於ける鱸の素人釣は先生が創始したといっても過言で無いかも知れぬ。三十数年前から利根川へ行って、今日まで釣った鱸の数は何百本とも知れぬだろう。それで錘も鈎も竿も

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釣った魚の味

佐藤垢石

釣った魚の味 佐藤垢石 釣りは、主人が釣りそのものを楽しむということと共に、獲物の味を家族に満喫させるところに一層の興味がある。 ところが、獲物を釣り場に棄ててきたり、無意味に人に呉れたりする釣り人を見受けるのは甚だ心得ない。 つまり、これは主婦が獲物を喜ばない影響であるかも知れないのである。世の中には魚屋が持ってくる魚であれば、それが活きの悪いものであって

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鈍走記

竹内浩三

生まれてきたから、死ぬまで生きてやるのだ。 ただそれだけだ。 * 日本語は正確に発音しよう。白ければシロイと。 * ピリオド、カンマ、クエッションマーク。 でも、妥協はいやだ。 * 小さな銅像が、蝶々とあそんでいる。彼は、この漁業町の先覚者であった。 * 四角形、六角形。 そのていたらくをみよ。 * バクダンを持って歩いていた。 生活を分数にしていた。 *

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鈍走記(草稿)

竹内浩三

1 生まれてきたから、死ぬまで生きてやるのだ。ただそれだけだ。2 日本語は正確に発音しよう。白ければシロイと。3 ペリオド、カンマ、クエッションマアク。でも、妥協はいやだ!4 小さい銅像がちょうちょうとあそんでいる。彼はこの漁業町の先覚者だった。5 四角形、六角形、そのていたらくをみよ。6 バクダンをもってあるいていた。生活を分数にしていた。7 恥をかいて、

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鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年

夏目漱石

鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年 夏目漱石 三〇五 明治三十九年一月一日 午前零時―五時 本郷區駒込千駄木町五十七番地より廣島市猿樂町鈴木三重吉へ 加計君の所へいつか手紙をやりたい。宿所を教へ玉へ 拜啓 御通知の柿昨三十日着直ちに一個試みた處非常にうまかつた。コロ柿は堅過ぎるがあれは丁度好加減です。小供にもやりました。君の神經衰弱は段々全快のよし結構小生の胃病

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鈴木主水

久生十蘭

享保十八年、九月十三日の朝、四谷塩町のはずれに小さな道場をもって、義世流の剣道を指南している鈴木伝内が、奥の小座敷で茶を飲みながら、築庭の秋草を見ているところへ、伜の主水が入ってきて、さり気ないようすで庭をながめだした。 「これからお上りか」とたずねると、「はっ、上ります」と愛想よくうなずいてみせた。 伝内は主水がかねてなにを考え、なにをしようとしているかお

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鉄のシャフト

野村吉哉

ゴシゴシゴシキイキイゴシゴシ……俺の役目はでっかい鉄のシャフトを磨くのだまっ赤に染まったどろどろの手袋の中で感覚を失ってしまっている俺の手は俺の全生命をこめて鉄のシャフトを磨くのだ ――捨値で買ったボロボロに腐りかけた幾万本の鉄のシャフトは磨いて塗って幾十倍に売りつけられるのだコンミッションの力で新品としてスラスラ通って行くのだ買うのは誰だ――やっぱり俺達だ

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鉄砲

坂口安吾

鉄砲 坂口安吾 天文十二年八月二十五日(四百一年前)乗員百余名をのせた支那船が種子ヶ島に漂着した。言葉は通じなかつたが、五峯といふ明の儒生が乗つてゐて筆談を交すことができた。ところが、船中に特に異様な二名の人物がゐる。一人をフランシスコ、他をダ・モータと云ひ、ポルトガルの商人で、この両名が各自その手に不思議な一物をブラ下げてゐた。 一物の長さは二三尺。中央を

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