折口信夫 · 일본어
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원문 (일본어)
寛政八年五月四日、伊勢古市の油屋で、山田の医師、孫福斎と言ふ者が、九人斬りをしたと言ふ騒動があつたと伝へられる。これを近松徳叟が三日間で脚色し、同年七月二十五日、大阪の角の芝居にかけたものだと言ふ。所が古市側の記録では、騒動のあつたと言ふ同じ日を初日として、古市の芝居にこれがかゝつてゐる。いかに手廻しがよくても、夜の出来事を其昼に予め舞台にかけると言ふ事はあり得ないから、これはどちらかゞ間違ひであらう。事実譚と言ふものは、想像が多く這入つてゐるもので、事件に即き過ぎた説明が、事実の外廓を廻つて附いてゐるものが多い。此騒動にしても、作物と事実とが一致し過ぎてゐる点が、却てどこまで信じてよいか、訣らなくしてゐる。徳叟が三日で脚色したと言ふのは、別に珍しい事でもないが、五月から七月まで、二月の余も経つてゐるのに、特別にそんな事を言ひ出したのも、狐につまゝれた様な話である。 江戸に此芝居を持つて来たのは、三代目坂東彦三郎だと伝へてゐるが、此後、彦三郎(四代)の方と、菊五郎(三代)の方とで、練りに練り上げ、特に五代目菊五郎に到つて、四度まで出して、貢の演出法が定型に達してゐる。今の菊五郎は油屋だ

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