岸田国士 · 일본어
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원문 (일본어)
時計とステッキ 岸田國士 私は、今、時計といふものを持つて歩かない。時間を超越するほど結構な生活をしてゐる訳ではないが、時計を持つてゐなくつても、どうやら用事は足りるのである。そのかはりどこへ行つても、時間を知りたい時には、時計を持つてゐさうな人に、「いま何時?」と問ひかける。時間をきめて人を訪ねる時など、その家の近所へ辿りつくと、軒並みに薄暗い店のなかへ、それとなく素早い視線を投げて、柱時計のありかを一瞬間に突き止める修練は、いつの間にか積んだ。かういふ時、便利なやうで不便なのは時計屋の店である。なんとまぎらはしき針また針の方向! それでも、生れてから時計を一度も持つたことがないわけではない。十三にして、おやぢからニッケル側を貰ひ、二十三にして、自分の金で銀側を買つた。それ以来、その銀側を持ち続けてゐた筈だが、いつ、どこで、どうしたのか――ああ、さうさう、これを忘れてゐる法はない。巴里の、ある裏通りの、安下宿の二階で、ある日、病気で寝てゐると、そこへ、瓦斯屋に化けた強盗が、悠々とはいつて来て、いきなり、何か、石ころを袋に填めたやうなもので、熱のあるこの頭を、ガンと擲りつけ、痛いなあと

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