樋口一葉 · 일본어
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원문 (일본어)
我が良人は今宵も歸りのおそくおはしますよ、我が子は早く睡りしに歸らせ給はゞ興なくや思さん、大路の霜に月氷りて踏む足いかに冷たからん、炬燵の火もいとよし、酒もあたゝめんばかりなるを、時は今何時にか、あれ、空に聞ゆるは上野の鐘ならん、二つ三つ四つ、八時か、否、九時になりけり、さても遲くおはします事かな、いつも九時のかねは膳の上にて聞き給ふを、それよ今宵よりは一時づゝの仕事を延ばして此子が爲の收入を多くせんと仰せられしなりき、火氣の滿たる室にて頸やいたからん、振あぐる槌に手首や痛からん。 女は破れ窓の障子を開きて外面を見わたせば、向ひの軒ばに月のぼりて、此處にさし入る影はいと白く、霜や添ひき來し身内もふるへて、寒氣は肌に針さすやうなるを、しばし何事も打わすれたる如く眺め入りて、ほと長くつく息月かげに煙をゑがきぬ。 櫻町の殿は最早寢處に入り給ひし頃か、さらずば燈火のもとに書物をや披き給ふ、然らずば机の上に紙を展べて靜かに筆をや動かし給ふ、書かせ給ふは何ならん、何事かの御打合せを御朋友の許へか、さらずば御母上の御機嫌うかゞひの御状か、さらずば御胸にうかぶ妄想のすて處、詩か歌か、さらずば、さらずば
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樋口一葉
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