牧野信一 · 일본어
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원문 (일본어)
「まア随分暫らくでしたね。それで何日此方へ帰つたの?」 河村の小母さんは、何の挨拶もなく庭口からのつそりと現れた純吉を見つけて、持前の機嫌の好さで叱るやうに訊ねた。 「四五日前……」 純吉はわけもなくにやにやしながらうつかりそんな嘘を吐いた。 「だつて学校は余程前からお休みだつたんでせう?」 「えゝそりやアもう七月の初めから休みだつたんですが、一度此方へ帰つて来て――」 何かうまい口実は見つからないものかと彼が思ひ惑うてゐるうちに、好いあんばいにせつかちな小母さんはそんな話題にこだはつてはゐず、 「ともかく此方へおあがりよ。今日はもう朝から忙しくて/\、やつと今片づけたところなんです。」といひながら、座敷の障子を明け拡げた。 純吉は縁側に腰を降した儘、煙草を喫しながらぼんやり広い庭を眺めてゐた。深く繁つた泉水のまはりの樹々のなかゝらは無数の蝉の鳴声がひとつに溶け合つて、喧ましい夢のやうに周囲の静かな空気をふるはせてゐた。 「旅行にでも出掛けるんですか?」 「旅行? そんな楽しみぢやないんですがね――」といつた小母さんは楽しみらしく、声色に意味あり気な甘味を含ませた。 拙いことをうつかり
牧野信一
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