片山広子
片山広子 · 日语
片山広子 · 日语
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原文 (日语)
身についたもの 片山廣子 M夫人は私たち十二三の時からの学校友達で、むかしも今も親しくしてゐるが、彼女は実家も婚家も非常に裕福なので趣味としての諸芸に達して、殊にお茶や歌では趣味以上のくろうとである。その彼女がある時言つた。「私はずゐぶんいろいろなお稽古ごとをやつてみましたけれど、何といつても、十代の時習つたものが一ばん身についてゐますね、それはお琴。家庭の人となつて琴なんぞ弾いてゐる時間もなく、何年となく捨てつぱなしにしてゐても、ちよつとお浚ひをすればすぐ思ひ出して昔の通りに出来ますものね。中年で習つたものは一生けんめい念を入れて今までやり続けてゐても、まだ本当に身についてはゐないやうです……。」彼女のやうな静かな心構への人がいふ事で、それは本当だと思ふ。私は小学生の年から女学校の寄宿舎にはいつてゐて、大きくなると(十四五から)自分の部屋のお掃除を習はせられた。それから十六位からは、外人教師のお部屋と西洋応接間の掃除をした。一週に一度づつは足袋や肌着の洗濯もしなければならなかつた。こんな年になつても割合にらくな気持で掃除や洗濯ができるのは、十代でおぼえた仕事が、芸ではないが、身につい
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