佐藤春夫
佐藤春夫 · 日语
佐藤春夫 · 日语
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原文 (日语)
數年前から漠然とこの頃の三田文學には人材が集つてゐるやうな氣がしてゐた。戰爭中で外の雜誌に文學の色彩が薄れてゐる時に、これがあまり時勢に追從せずにゐたためかと思ふ。終戰後山の中から文壇といふものを遠く見てゐると、だいぶんいろいろの新人が出て文壇の樣相が新らしくなつて行くのがよく判つた。さて三田の人々をこれ等の文壇と見くらべると、みなそれぞれの特色がありながら文壇の新人といふものと違つてゐるものを自分は面白く思つた。文壇といふものに關係なく自分たちの文學を書いてゐるふうに見えるのである。或はとり殘されてゐるといふのかも知れない。文壇にとり殘されても文學に置き忘れられさへしなければ一向かまはない。恐ろしいのはその逆の場合であらう。三田の人々は、しかしその心配はない。彼等は文壇にはとり殘されながらにも文學だけは忘れてゐないやうな頼もしさを感じて文壇にとり殘されてゐるおかげでせめて文學だけはといふ氣持になつてゐるのかも知れないが、何にしても好もしい現象と思つて見てゐた。 そのうちに水上瀧太郎賞といふものが出來たのは、どういふ目的なのだか。或は文壇の郊外にゐる三田の人々に盛裝をさせて文壇の混雜の
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