谷譲次
谷譲次 · 日语
谷譲次 · 日语
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原文 (日语)
1 反照電熱機のような、香橙色の真ん円な夕陽を、地中海が受け取って飲み込んだ。同時に、いろいろの鳥が一せいに鳴き出して、白楊の林が急に寒くなった。私は、それらの現象を、すこしも自分に関係のないものとして、待合室の窓から眺めていた。その窓硝子には、若い春の外気が、繊細な花模様を咲かせていた。 そこは、ふらんすと伊太利の国境駅のヴァンテミイユだった。 小停車場は、埃塵をかぶって白かった。そして、油灯のくすぶる紫いろの隅々に、貧しいトランクの山脈と一しょに、この産業の自由流動と、それによる同色化傾向の濃厚な近代社会に、何とかして無理にも史的境界と、その尊厳を保とうとする国家なるものの喜劇的重大性が、無関心な流行者の哀愁にまで立ち罩めていた。それは私に、戦線のにおいをさえ嗅がせた。伊太利と仏蘭西の二つの国家によって、そこの空気は二倍の比重を持っていたからだ。どこかバルチック海に沿う新興共和国の大統領護身兵のような、考え抜いた制服の、一人の鼻の尖った青年が、ふらんす側の車窓から、玄妙な言葉で私の荷物を強奪した。手荷物運搬人だった。それから、退屈な国境の儀式が開始された。 旅券。仏蘭西の出国スタン
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