谷崎潤一郎 · 일본어
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원문 (일본어)
その頃私は或る気紛れな考から、今迄自分の身のまわりを裹んで居た賑やかな雰囲気を遠ざかって、いろいろの関係で交際を続けて居た男や女の圏内から、ひそかに逃れ出ようと思い、方々と適当な隠れ家を捜し求めた揚句、浅草の松葉町辺に真言宗の寺のあるのを見附けて、ようよう其処の庫裡の一と間を借り受けることになった。 新堀の溝へついて、菊屋橋から門跡の裏手を真っ直ぐに行ったところ、十二階の下の方の、うるさく入り組んだ Obscure な町の中にその寺はあった。ごみ溜めの箱を覆した如く、あの辺一帯にひろがって居る貧民窟の片側に、黄橙色の土塀の壁が長く続いて、如何にも落ち着いた、重々しい寂しい感じを与える構えであった。 私は最初から、渋谷だの大久保だのと云う郊外へ隠遁するよりも、却って市内の何処かに人の心附かない、不思議なさびれた所があるであろうと思っていた。丁度瀬の早い渓川のところどころに、澱んだ淵が出来るように、下町の雑沓する巷と巷の間に挟まりながら、極めて特殊の場合か、特殊の人でもなければめったに通行しないような閑静な一郭が、なければなるまいと思っていた。 同時に又こんな事も考えて見た。――― 己は随
谷崎潤一郎
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