
壺井栄 · 日语
壺井栄 · 日语
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原文 (日语)
この家のあるじは――といっても、同じ部屋の下に住む六人のあるじのうち、この場合は女房の安江のことになるが、彼女は腹が立ったときと、うれしいときとに花を買うという妙なくせがある。 ぷいと家を出ていって、ゆきあたりばったり、いろんな花を買いこんでくるとき、それは腹を立てている証拠であった。金があってもなくても、ないときには花屋で借金してでも、とにかく花をかかえてもどらんことにはおさまらないらしい。そんなとき、買ってきた花は湯殿のバケツに投げこんでおく。すると翌日あたり娘の音枝がにやにやしながら跡始末をする。たとえば、一番上等のバラの花は、こいつは母親の立腹がもっとも集中されているものと察して、安江から目の遠い台所の出窓におくとか、ミモザとカーネーションは組合して玄関のゲタ箱の上に、ねこやなぎと菜の花は水盤にいれて応接間の窓べりに、そして一ばん目立たぬスミレの花束だけを小さなコップにいれて、安江の部屋の机の上におく。といった具合に気を配るのである。こんな日には、ふたが割れたために用をなさなくなった味噌つぼが、チュウリップのいれものになって、茶の間のたんすの上にのっかったり、時には豪勢なアマリ
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