徳田秋声 · 일본어
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원문 (일본어)
古くから馴染のあるこの海岸へ、彼は十年振りで来て見た。どこもさうであるやうに、ここも震災で丸潰れになつて、柱に光沢の出てゐるやうな家は一つも見当らなかつた。町はどこもがさがさしてゐたが、しとしとした海風は、やつぱり懐しかつた。脚の不自由な人があるので、家を出て自動車に乗るにも、駅へ来てプラツトホームへ出て行くにも、家族的旅行の楽しさの一半は減殺される訳であつたが、それはそれとして、兎に角三年目に彼自身子供たちに附添つて行かれることは、彼等に取つて久しぶりの悦びであつた。彼は昨年も一昨年も懇意な旅館へ子供たちを預けておいた。大胆といふよりか、寧ろ惨酷な家庭破壊を三年間もつづいてやつてゐる、一人の子供の襲来を妨ぐことは、傭人には出来ないことであつた。 「今年だつてあの男が少しでも、何かの手助けになるやうだつたら……」彼は思はずにはゐられなかつた。実際何か事のあるをりには、今の人数では彼一人では手不足であつたが、彼も段々主婦のない家庭を整理することに馴らされて来てゐた。そして一人で箪笥や葛籠の底から、台所の隅まで一切を統制することが、結局、誰を当てにするよりも安心で興味のあることを感じてゐた
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徳田秋声
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