豊島与志雄
豊島与志雄 · 日语
豊島与志雄 · 日语
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原文 (日语)
ピンカンウーリの阿媽 豊島与志雄 忙中の小閑、うっとりと物思いに沈む気分になった時、いたずらにペンを執って、手紙でも書いてみようという、そんな相手はないものだろうか。もとより、用事の手紙ではなく、眼にふれ耳にはいる事柄の、埒もない独白だ。 窓前の木の枝に小鳥が鳴いてるとか、薄霧がはれて日の光りがさしてきたとか、象牙のパイプに脂の色がほんのりしみてきたとか、銭湯に行こうかそれともちょっと酒でも飲もうか……などなど、意味もないつまらないことばかりを並べ立てて、さて、そんな手紙を誰に宛てて出したらよかろうか。 手紙を書くということは、元来、ひどく億劫なことである。埒もない手紙にしても、戯画戯文ではない。それを書くのだから、なにかそこにはおのずから心情の温かみがあろう。愛情というほど強いものではない。ただ、頬杖をつくぐらいな気持ちで頭をもたせかける胸、何も求めない無償の意味で心を寄せかける肌、それだけの相手にすぎない。 その相手が一つ、遠くにあった。 秦の始皇帝の伝説は、日本によく知られている。山東半島の先端に突兀とそびえてる※山の頂から、始皇帝は海上はるかに見渡して、海の彼方にあるという蓬莱
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