南部修太郎
南部修太郎 · 日语
南部修太郎 · 日语
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原文 (日语)
自分の變態心理的經驗 南部修太郎 妖怪と云ふものが昔の妖怪話の妖怪畫などに現はれてゐるやうな異樣、奇怪、凄慘などの極端に誇張された存在でない事は、少くとも客觀的存在でない事は、今更ら云ふまでもない話であるが、これを精神上の一種の主觀的存在、云ひ換へれば、人間の幻覺或は錯覺としてみる時は確にあり得るもののやうに思はれる。と云ふのは、私としても心身が變態的な状態にあつた時にはそれらしい存在を二三度經驗した事があるからだ。その一度は大正七年に重い流感にかかつて危く死ぬ處だつた高熱往來の最中に、どう云ふ因縁だか、私の寢てゐた部屋の縁側の障子があいて(無論これは幻覺的にあいたので、實際にあいたのではない)島村抱月さんの姿が見えた。抱月さんはあとで聞けばその二三日前に死んだのであるが、私は抱月さんその人を見たのは、その二月ほど前に牛込の藝術座の廊下で遠見に姿を見たのが初めてでまた最後で、無論何の面識も持たない人だつたのである。で、その高熱往來の夢うつつの境に母か妹かに抱月さんが死んだと云ふ事を聞かされでもしたのが一つの暗示になつたのかも知れないが、とにかく夜半だつたやうに記憶する。突然障子があいた
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