野村胡堂
野村胡堂 · 日语
野村胡堂 · 日语
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原文 (日语)
「親分妙なことがありますよ」 ガラツ八の八五郎は、入つて來るといきなり洒落た懷中煙草入を出して、良い匂ひの煙草を立て續けに二三服喫ひ續けるのでした。 「陽氣のせゐだね。俺の方にも妙なことがあるんだが――」 錢形の平次は、肘枕を解くと、起直つてたしなみの襟などを掻き合せます。 「へエー、不思議ですね。親分の方の妙な事といふのはなんで?」 ガラツ八は鼻の下を長くしました。 「八五郎の煙草入に煙草が入つて居るのが妙ぢやないか。その煙草が馬糞臭い鬼殺しでもあることか、プーンと名香の匂ひのする上葉だ。水戸か薩摩か知らないが、何處でくすねて來やがつたんだ」 「驚いたね、どうも。錢形の親分の鼻の良いには」 「お世辭を言ふな」 「實はこの煙草の施主に頼まれて來たんですがね。――凡そこの」 「凡そこの――と來たか。その次は然り而してと來るだらう、煙草と一緒に學まで仕入れて來やがつた」 平次と八五郎は何時でも此調子で、大事な話をトントンと運んで行くのでした。平次とガラツ八の流儀から言へば、無駄話も決して無駄ではなかつたのです。 「からかつちやいけませんよ。――凡そこの、へツ又出て來やがつた。學があると、ツ
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