野村胡堂
野村胡堂 · 日语
野村胡堂 · 日语
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原文 (日语)
「親分、金持になつて見たくはありませんか」 八五郎はまた途方もない話を持ち込んで來たのです。やがて春の彼岸に近い、ある麗らかな日の晝過ぎ。 「又變な話を持つて來やがる、俺は今うんと忙しいところだ。金儲けなんかに取合つちや居られねえよ」 「何が忙しいんです、――はたで見ると隨分呑氣さうですね。日向に寢そべつて本なんか讀んでゐて」 「それが忙しいんだよ。曾我の五郎が助かるか、殺されるかといふところだ――」 「そいつは、何處の親類で?」 「曾我物語といふ本に書いてある話だよ。俺の親類の五郎さんぢやねえやな」 平次は自若として、まだ物の本に讀み耽つて居ります。 「呆れたものだ。そんな心掛けだから、親分は何時までも貧乏してゐるんですぜ」 「あれ、變なことを言ふぢやないか。お前は今日、俺に意見をするつもりで來たのか」 「そんなつもりぢやありませんがね。こいつは、鼻の先にブラ下がつてゐる金儲けですぜ。ちよいと親分が知識を働かしてくれさへすれば――」 「お斷りだよ、八。俺はそれどころぢやないんだ」 「五郎さんが死ぬか生きるか――といふ話でせう。それはそれとして、兎に角、この話を聽いて下さいよ。親分が乘
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