久生十蘭
久生十蘭 · 日语
久生十蘭 · 日语
首段预览
原文 (日语)
頃日、丸ノ内の蘭印・中国海運という会社から、村上マサヨ宛の幸便を取りに来いという通知を受けた。 行ってみると、蘭印アンボン島特別郵便局の検閲済の消印のある分厚な一通の封書と、赤い封蝋でシールされた、十糎立方ほどの小包を一個渡してくれた。差出人はマリハツ・シロウという人で、心当りのない名だったが、一応、持ち帰ってマサヨに封書を開けさせたところ、手紙は、村上重治の最後のようすと、当時の環境をくわしく報知してきたもので、小包は、すなわち重治の遺骨であった。 重治は娘の夫で、かねて戦死の公報があり、戦歿地は昭南ということになっていたが、実は、濠洲の北岬、クィーンスランドというところの無人の砂浜で死んだことがわかった。 重治は中野電信隊付属通信研究所(通称中野学校)で通信技術を修めていたが、こんど通信隊長になって行くのですというので、そういうものかと疑いもしなかったが、終戦後、M氏の手記その他によって、中野学校というのは、どういうことをするところだったか、ほぼ了解することができた。以前、参謀本部の地下室で、海外へ派遣される武官に、特殊な諜報教育を授けていた施設を中野電信隊跡へ移し、幹部候補生から
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