牧野信一
牧野信一 · 日语
牧野信一 · 日语
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原文 (日语)
眠つても眠つても眠り足りないやうな果しもなくぼんやりした頭を醒すために私は、屡々いろいろな手段を講じる。 頭がぼんやりしてゐると私は、いつも飛んでもない失敗を繰り返す癖に怖れをもつてゐたからである。 「うんうん――と、はつきり点頭いてゐたから約束通り僕は今迄停車場で待つてゐたんですよ。がつかりしちやふな、ほんとうに未だ寝てゐるなんて酷いや!」 森だ! と私は、吃驚りして寝台から飛び降りた。が、思ひ返すと、とても具合が悪くなつたので、そつとまた寝床にもぐり込んで眠つてゐる振りをしてしまつた。――綺麗な天気らしい。窓掛けが瑠璃色の陽を一杯含んでゐる。 「まあ、そんな約束をしたの! あたし達ちつとも知らなかつたわ。あたし達が知つてゐればそんなことはなかつたでせうにね。」とユキ子が答へてゐた。 「あいつ等に云ふと、一処に行きたがつたり何かして厄介だから、二人で黙つて行つてしまはう――そんな約束だつたんですよ。」 「まあ酷い。罰だわ!」 「お蔭で僕は、今日一日を台なしにしてしまつた。」 本の包みでも投げ出したらしい音がした。その音が私の胸を痛く打つた。森は、汽車で東京へ通つてゐる大学生である。私
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