牧野信一
牧野信一 · 日语
牧野信一 · 日语
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原文 (日语)
周一は、今年のお年玉に叔父さんから空気銃を貰つた。去年から欲しがつてゐたものだつたが、危いから駄目だ/\と云はれて、父からも母からも許されなかつた。その代りクリスマスの日に母から立派なハーモニカを買つて貰つたのであつた。 周一は、ハーモニカに直ぐ飽きてしまつた。何故かなら、一月もかゝつていくら一所懸命に吹いて見ても、やさしい唱歌さへ吹けなかつたからだ。 「ねえお母さん、今度の日曜に、お隣りの健ちやんと一緒なら、空気銃を持つて山の方へ遊びに行つてもいゝ?」 ある日周一は、もうどうしても空気銃が使つて見たくて堪らなくなつて、茶の間で縫物をしてゐた母の傍へ駆け寄つて斯う云つた。 「空気銃?」と、母は縫物の手を止めて、眼を丸くして聞返した。 「えゝ。」といつた周一は、これはとても駄目らしいぞと気付いたが、事更にきつぱりと、 「だつて健ちやんと一緒ならいゝでせう。」と云つた。母は黙つてゐた。 「ね、いゝでせう?」 「お父さんにお訊ねして御覧なさい。」 「ぢやお父さんが好いとおつしやつたら好いの?」 母の機嫌は益々悪く見えた。周一はもう泣き出したいやうな気持になつて、たゞ無暗と鼻をならしてゐた。
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