牧野信一 · 일본어
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원문 (일본어)
「風よ風よ、吾を汝が立琴となせ、彼の森の如く――か、ハツハツハ……琴にならぬうちに、おさらばだよ、森よ森よ、さよなら――と!」 「真面目かと思へば冗談で、冗談かと思へば生真面目で、転がせ/\、この樽を――だ、ハツハツハツ……」 「泣いて呉れるなヨ、出船の邪魔だヨ……」 「今日は黒パン、明日は白パン、兵士の歌だよ、白い娘と黒いパン、黒い娘と白いパン、どんどん行け行け鉄砲かついで――」 私はテントの袋を肩につけて、何かしら不安な思ひにでも打たれてゐるかのやうに黙つてゐたが、皆なは勝手な歌をうたひ、口笛を吹き、手風琴を鳴しながら、ガヤガヤと馬をつらねて山径を降つてゐた。皆なが、山彦を面白がつて、殊更に声を張り挙げ、殊更な笑ひ声を挙げると、それが森の梢に陰々と反響した。崖の間からハラハラと水が滾れ落ち、万年草や孔雀歯朶が一杯にはびこつてゐる森の中だつた。 「おい/\、ちよつと立ち止まつて皆なでいち時にワツハツハツ! といふ笑ひ声を挙げて見ようよ、可笑しいぜ、山彦が……」 歌のところは解らなかつたが、誰かゞ束の間の静けさの時に挙げた笑ひ声が、まるで天狗の声でもあるかのやうに梢の間に響き渡つたのに
牧野信一
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