牧野信一 · 일본어
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원문 (일본어)
僕は近頃また東京に舞ひ戻つて息子と二人で、霞荘といふところに寄宿しながら全く慎ましい日夕をおくり迎へて別段不足も覚えないのであるが、こんな小さな部屋では酒をのむわけにもゆかず、いつも神妙な顔をして、こつこつと小説を書き、書いても書いても何といふこともなく家を建てるなんていふことはおろか着物一枚買へもせず、それどころかいつの間にか鞄に入れて来たものもなくなつてしまつたりして、これは一体何ういふものかなどゝ考へると、やはり余り小つぽけな暮しをしてゐるために、そんなつもりではなくつてもつい了見までがケチ臭くなつてゐる故為かなどゝ思ふのであつた。僕としては然し下宿でも何でも一向頓着もないのであるが、艶めかしい婦人の踊る物音や、あたしのラバさんなどゝいふ声が響いたりするところに息子を置くのは教育の為に如何かと案じて住居のことも考へるのだが女房を招んで貸家探しなんていふことも、とても面倒で考へると同時に願ひさげて了ふのである。此処は或る貴族の何万坪かといふ屋敷跡の分譲地で堂々たる邸宅ばかりが並んでゐて、その一隅の貸室館に、中でも小つぽけな一室に親と子が卓子をならべて、親は四角な区劃の紙片を一字一字
牧野信一
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