牧野信一 · 일본어
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원문 (일본어)
沢山な落葉が浮んでゐる泉水の傍で樽野は、籐椅子に凭つて日向ぼつこをしてゐた。彼は、あたりのことには関心なく何か楽し気な思ひ出にでも耽つてゐる者のやうに伸々と空を仰いでゐるが、何時の間にか眠り込んでしまつたのかも知れない、膝の上に伏せてあつた部厚な書物が音をたてゝ足許に滑り落ちても拾はうともしないから。書物は、もう少しで水の上に落ちかゝりさうなところで躑躅の小株につかえてゐた。そして、情熱的な読者の赤鉛筆で共鳴の傍線があちこちに誌してある「抽象的観念の実在」――そんな項目の頁を微風に翻してゐた。 ついこの間までは大きな鯉が悠々と泳いでゐたが樽野が悉く売り払つてしまつたので泉水は霜枯れ時の運動場のやうに静かで、間が抜けてゐた。いつもなら赤、白、青の鯉が行列をつくつて游ぎ回つてゐるので水底は不断にもや/\と煙つてゐたが、今は隈なくすき透つて藻の蔭に沈んでゐる蒸汽船や瀬戸物の破片などまでがはつきりと見えたし崖の小笹の間から滾れる水を招んで気ながに湛えた泉水の水なので、一度濁ると容易に魚の姿が判別出来るまでには澄まなかつたが、斯んなに澄み透つた水が満々としてゐるのを見ると妙に空々しく不自然であつ
牧野信一
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