宮本百合子
宮本百合子 · 日语
宮本百合子 · 日语
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原文 (日语)
思い出すかずかず 宮本百合子 十一月の中旬に、学友会の雑誌が出る。何か書いたものを送るようにと云う手紙を戴いた。内容は、近頃の自分の生活に就て書いたものでもよいし、又は、旅行記のようなものでもよいと、大変寛大に視野を拡げて与えられた。けれども、こうしてペンをとり、紙に向って見ると、自分の気持は、真直「誠之」という名に執着して行って、どうも他の題目が自然に心に受取られないのを知った。学校を出てから、考えて見ると、もう足掛十年になる。弟が校門を去ってからでさえ彼此六七年にはなるだろう。女学校へ入って間もなくあった校友会に出たきり、私は、文字通り御無沙汰を続けている。我々の年代にあっては、生活の全感情がいつも刻々に移り換る現在に集注されるのが自然らしい。日々の生活にあっては、今日と云い、今と云う、一画にぱっと照りつけた強い光りにぼかされて、微に記憶の蠢く過去と、糢糊としての予測のつかない未来とが、意識の両端に、静に懸っているのである。有のままをいえば、遠く過ぎ去った小学校時代を屡々追想して、その愛らしい思い出に耽るには、今の自分は、一方からいえば余り大人になり過ぎ、一方からいえば、又、余りに
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