Vol. 2May 2026

图书

公共领域世界知识图书馆

14,981종 중 11,736종 표시

純粋な動機なら好い

宮本百合子

純粋な動機なら好い 宮本百合子 一、芸術批評を本気な仕事とせず、おっつけで、仕来りになったから「月評」と云うものの権威は薄くなったのではありませんか。 二、純粋な動機で批評すれば、或る月には、或る作品について多く書かれ、又、或る月は、沈黙であると云うことが、存在の可否などを論じさせない自然な、本当の状態であると思います。 〔一九二二年一月〕

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純粋の声

宮城道雄

純粋の声 宮城道雄 私が上野の音楽学校に奉職することになった時、色々話があるからというので、或る日学校に呼ばれて行ったことがある。いよいよ講師としての辞令を渡された時、乗杉校長が、この学校は官立であるから、官吏という立場において体面を汚さぬようなことは、どんなことをしてもよいが商事会社の重役になってはいけぬと言った。 私も長年弟子を教えてはいたが、学校の先生

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純粋に「日本的」な「鏡花世界」

谷崎潤一郎

正直に云つて、晩年の鏡花先生は時代に取り残されたと云ふ感がないではなかつた。先生の如く過去に極めて輝かしい業績を成し遂げた人は、いかなる場合にも心の何処かに晏如たるものがあるから、あまり淋しさうにはしてをられなかつたけれども、老後の先生が久しく文壇の主流から置き去りにされてゐたことは否むべくもない。が、その人が既に故人となつた今、その著作には新たに歴史的な意

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純銀の賽

萩原朔太郎

みよわが賽は空にあり、 空は透青、 白鳥はこてえぢのまどべに泳ぎ、 卓は一列、 同志の瞳は愛にもゆ。 みよわが賽は空にあり、 賽は純銀、 はあとの「A」は指にはじかれ、 緑卓のうへ、 同志の瞳は愛にもゆ。 みよわが光は空にあり、 空は白金、 ふきあげのみづちりこぼれて、 わが賽は魚となり、 卓上の手はみどりをくむ。 ああいまも想をこらすわれのうへ、 またえれ

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紙幣

小熊秀雄

紙幣よ、 貴様のためにこの私の詩人が 歌ふのを光栄と思へ、 だが貴様はいふだらう、 ――何を生意気な貧乏詩人め、 イノシシとは一体 十円札か百円札か知つてゐるか さういはれてみると一寸胴忘れした 然しそんなことが何の恥辱だらう、 紙幣の図柄をゆつくり 見て居る暇もない程に 貴様はいつも私の右から入つて左へ抜ける まるで駈足だ。 もし私がブルジョアならば、 お

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紙幣鶴

斎藤茂吉

ある晩カフェに行くと、一隅の卓に倚ったひとりの娘が、墺太利の千円紙幣でしきりに鶴を折っている。ひとりの娘というても、僕は二度三度その娘と話したことがあった。僕の友と一しょに夕餐をしたこともあった。世の人々は、この娘の素性などをいろいろ穿鑿せぬ方が賢いとおもう。娘の前を通りしなに、僕はちょっと娘と会話をした。 「こんばんは。何している」 「こんばんは。どうです

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紙の歴史

桑原隲蔵

紙の歴史 桑原隲藏 (一)先秦時代の書寫の材料          (二)紙の發明 (三)マホメット教國に於ける紙の傳播(上)  (四)マホメット教國に於ける紙の傳播(下) (五)オーストリーのライネル太公爵の古紙蒐集 (六)西本願寺所藏の古文書 一 紙の發明は世界の文化に多大の貢獻をした。人智の開發と文化の促進とに大關係ある印刷術が發明されても、紙の發明が之

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紙の洪水

中谷宇吉郎

アメリカの話も、もう皆鼻についているので、あまり書くこともない。しかしホテルに泊っていたのでは、一寸気のつかないこともあり、そういう話なら、少しは面白いことがあるかもしれない。しかし私はまだそのホテルに住居をしているので、書く資格が出来ていない。もう十日くらいすれば、家族の連中も到着するので、そうしたら、また種が出て来ることであろう。 ところで、家をもつと、

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紙の行方

中谷宇吉郎

前の話で、家をもったら、紙の始末をどうするか、少し気になるという話を書いたが、その始末法はきわめて簡単にわかった。半分は棄て、半分は燃してしまうのである。 前にいったように、新聞紙と、買物の時にくれる紙袋とが、心配していたとおりに、みるみるうちに溜って来る。しかし何も取越苦労をする必要はないので、こういう紙類などはどんどんさばけて行く。 第一に、台所で出て来

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『紙風船』について

岸田国士

『紙風船』について 岸田國士 この作は、順序としては私の第四作である。処女作「古い玩具」を大正十四年の春、当時山本有三氏の編輯にかかる「演劇新潮」に発表し、第二作「チロルの秋」を同年秋、同誌のために書き、その翌年の四月であつたか、文芸春秋から、その戯曲号へ三十枚ほどのものをといふ注文を受け、私は嬉しまぎれに、これを転地先の辻堂の海岸で、殆ど即興的に書き飛ばし

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紙風船(一幕)

岸田国士

人物 夫 妻 時  晴れた日曜の午後 所  庭に面した座敷 夫  (縁側の籐椅子に倚り、新聞を読んでゐる) 「米国フラー建材会社のターナー支配人が一日目白文化村を訪れて、おゝロスアンゼルスの縮図よ! と申しましたやうに、目白文化村は今日瀟洒たる美しい住宅地になりました」 妻  (縁側近く座蒲団を敷き、編物をしてゐる)なに、それは。夫  (読み続ける)「四万坪

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紙魚こぼれ

木暮理太郎

大田蜀山人の『半日閑話』の中に「信州浅間岳下奇談」と題して次の記事が出ている。 九月(文化十二年)頃承りしに、夏頃信州浅間ヶ岳辺にて郷家の百姓井戸を掘りしに、二丈余も深く掘けれども水不出、さん瓦を二三枚掘出しけるゆへ、かゝる深き処に瓦あるべき様なしとて又々掘ければ、屋根を掘当けるゆへ其屋根を崩し見れば、奥居間暗く物の目不知、去れ共洞穴の如く内に人間のやうなる

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級長の願い

小林多喜二

級長の願い 小林多喜二 先生。 私は今日から休ませてもらいます。みんながイジめるし、馬鹿にするし、じゅ業料もおさめられないし、それに前から出すことにしてあった戦争のお金も出せないからです。先生も知っているように、私は誰よりもウンと勉強して偉くなりたいと思っていましたが、吉本さんや平賀さんまで、戦争のお金も出さないようなものはモウ友だちにはしてやらないと云うん

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素人図書館人の手記

金森徳次郎

生れるときに自分の將來の仕事を考えるものは無いが、それでも若いときから一生の目的を考えるものだ。ところが私は若いときはもとよりのこと、中年になつても老年になつても夢にも思わなかつた圖書館人と言うものに六十歳を超えてからなつた。業平朝臣の言いぐさではないが「忘れては夢かとぞ思う思いきや」であり雪は踏みわけないが毎日圖書館を見て喜び眺めているのだ。 私の管理して

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素人製陶本窯を築くべからず ――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――

北大路魯山人

(一) 私は日頃の心がけとして、後悔になるようなことは決してせんつもりでいるが、事実は、どうしてどうして大いに後悔することが次から次へ湧いて出て当惑することが少なくない。 例えば先年前山久吉さんを激怒せしめたなどはその例のゆゆしき一つである。それが場所もあろうに三越の四階、私の作陶展覧会場でである。従って多勢の人ごみの中でだ。相手は耳順、私は知天命に近からん

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素書

牧野信一

「マダムの御気嫌はどう? 今日は?」 山崎の顔を見るなり私は、部屋の入口に突立つたまゝ凝つと、訊ねた。――「君の顔色には何だか生気がない、病的といふほどのことではなしに……。眼つきが何となく悸々としてゐる、今日も!」 「さうだらう、俺は――」と山崎は、私がもつとさういふ風な彼に関する批評を続けるであらうことを、別段に何の不安を持つこともなく待ち構えるやうに、

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素朴な庭

宮本百合子

素朴な庭 宮本百合子 私は東京で生れた。母は純粋な江戸っ子である。けれども、父が北国の人で、私も幼少の頃から東北の田園の風景になれている故か、私の魂の裡にはやみ難い自然への郷愁がある。それも、南国の強烈な日光は求めず、日本の北の、澄んだ、明るい爽かな春、夏秋が何とも云えずに懐しい。冬の荒い北風、幾度かその上に転んだ深い雪、風の雨戸に鳴る音さえ、陰気ではあるが

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素材

正宗白鳥

私は發表する當てのないのに物を書いたことはない。また材料を得るために旅行をしたり讀書したりしたことはない。雜誌などに頼まれて何か書かうとして机に向つて筆を採つてから、さて材料はどれにしようかと考へるのである。 さうすると、いろ/\な材料が頭に浮んで來る。幾十となく思ひ浮ぶ。生きてゐる限り材料の缺乏に苦しむことはない譯なのだ。自分自身の生涯については云ふまでも

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ひかりの素足

宮沢賢治

ひかりの素足 宮沢賢治 一、山小屋 鳥の声があんまりやかましいので一郎は眼をさましました。 もうすっかり夜があけてゐたのです。 小屋の隅から三本の青い日光の棒が斜めにまっすぐに兄弟の頭の上を越して向ふの萱の壁の山刀やはむばきを照らしてゐました。 土間のまん中では榾が赤く燃えてゐました。日光の棒もそのけむりのために青く見え、またそのけむりはいろいろなかたちにな

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ソヴェト・ロシアの素顔

宮本百合子

これは自分が喋って速記をとったものです。自分で書く時間がなかった。話しかたが下手だから、大してうまく行っていないかもしれないが、一九一七年の革命以来、種々なデマゴーグによって歪め伝えられているソヴェト・ロシアの日常について、実際的な或る訂正としては役に立つと思う。 ロシアに入って真っ先に印象されたのは第一万事が珍しいということ。それに革命前及後のロシアという

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紫の壜

豊島与志雄

紫の壜 豊島与志雄 検察当局は私を、殺人罪もしくは自殺幇助罪に問おうとしている。私は自白を強いられている。だが、身に覚えないことを告白するのは、嘘をつくことだ。この期に及んで嘘をつきたくはない。軍隊生活では平然と嘘をつくことを教えられてきた。それを清算したい意味もあるのだ。私は真実だけを語りたい。 それにしても、当事者の私にとって明瞭な真実は、如何に僅かな些

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紫外線

小酒井不木

読者諸君は、塚原俊夫君の取り扱った「紅色ダイヤ」事件というのを記憶していてくださるだろうと思います。その事件を紹介する際、私は俊夫君に金持ちの叔父さんのあることを話しておきましたが、最近俊夫君はこの「赤坂の叔父さん」に実験室の一部を建て増してもらい、そこへ水銀石英灯というものを買ってもらって据えつけたのであります。 どうして、俊夫君が水銀石英灯を買ってもらっ

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紫大納言

坂口安吾

紫大納言 坂口安吾 昔、花山院の御時、紫の大納言という人があった。贅肉がたまたま人の姿をかりたように、よくふとっていた。すでに五十の齢であったが、音にきこえた色好みには衰えもなく、夜毎におちこちの女に通った。白々明けの戻り道に、きぬぎぬの残り香をなつかしんでいるのであろうか、ねもやらず、縁にたたずみ、朝景色に見惚れている女の姿を垣間見たりなどすることがあると

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紫式部 ――忙しき目覚めに

長谷川時雨

八月九日、今日も雨。 紫式部をもととした随筆の催促が、昨日もあったことを思って、戸をあけてから、蚊帳のなかでそんなことを考える。 水色の蚊帳ばかりではない、暁闇ばかりではない。連日の雨に暮れて、雨に明ける日の、空が暗いのだ。それが、簀戸を透して、よけいに、ものの隈が濃い。 濡れた蝉の声、蛙も鳴いている。 今年は萩の花がおそく、芒はしげっているのに、雁来紅は色

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