国枝史郎
国枝史郎 · japonés
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国枝史郎 · japonés
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Original (japonés)
「おやっ!」 と叫んだ長谷川の声がひどく間が抜けて大きかったので、山本は危なくコーヒー茶碗をテーブルの上へ落とそうとした。 「おい、いったいどうしたんだい、大声が自慢にゃあならないぜ」 「シェーネス・フロイラインが通るのだよ」 長谷川は窓へ飛んでいった。 「どれ」 と言うと、山本も長谷川の肩越しに窓外を見た。 雪が止んだので人通りがある。 一人の娘が歩いていく。深くうつむいているとみえ、ショールを抜いて頸脚が、少し寒そうに白々と見える。それが瀬川艶子であった。やがて人影に隠れてしまった。 「わが少女去りにけりか」 長谷川はテーブルへ帰ってきた。 「それだけの詠嘆でいいのかい」 椅子へ腰かけた山本は、ちょっと皮肉に言ったものである。 「探偵小説家としてはいけないさ。だが、ぼくは場合によっては探偵小説家なんか廃業したっていいよ、彼女さえぼくを愛してくれたらね」 「不心得だね、食えないぜ」 「なに、そうしたら新聞記者になる」 「ぼくのお株を奪うのだね」 「あっ、なるほど、そういうことになるか」 「探偵小説家でいたまえよ」 「探偵小説家でいる以上は、詠嘆ばかりしてはいられないね。よろしい、ひと
国枝史郎
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