新美南吉
新美南吉 · japonés
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新美南吉 · japonés
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Original (japonés)
ある晩、久助君は風呂にはいつてゐた。晩といつても、田舎で風呂にはいるのは暗くなつてからである。風呂といつても、田舎の風呂は、五右衛門風呂といふ、ひとりしかはいれない桶のやうな風呂である。 久助君は、つまらなさうに、じやばじやばと音をさせてはいつてゐた。風呂の中でハモニカを吹くことと歌をうたふことは、このあひだおとうさんから、かたく禁じられてしまつたのである。「風呂の中でハモニカを吹いたり、鼻歌をうたつたりするやうなもんは、きつとうちの屋台骨をまげるやうになる」とおとうさんはいつた。久助君は加平君ところの牛小屋が、いぜん、だんだん傾いて来て、壁が蛙の腹のやうに外側にふくれ、とうとうある日つぶれてしまつたのをよく知つてゐたので、自分の家があんな風になるのはかなはないと思つて、ハモニカも歌もやめてしまつたのであつた。 ハモニカと歌をとりあげられてしまふと、風呂は久助君にとつて、面白くないことであつた。何もすることがなかつたのだ。 そこで久助君は、何か一つ考へて見ることにした。 しかし考へといふものは、さあ考へようといつたつて、たやすくうかんでくるものではない。いつたい何のことを考へたらいいだ
新美南吉
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