長谷川時雨
長谷川時雨 · japonés
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長谷川時雨 · japonés
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Original (japonés)
八月九日、今日も雨。 紫式部をもととした随筆の催促が、昨日もあったことを思って、戸をあけてから、蚊帳のなかでそんなことを考える。 水色の蚊帳ばかりではない、暁闇ばかりではない。連日の雨に暮れて、雨に明ける日の、空が暗いのだ。それが、簀戸を透して、よけいに、ものの隈が濃い。 濡れた蝉の声、蛙も鳴いている。 今年は萩の花がおそく、芒はしげっているのに、雁来紅は色あざやかだがばかに短く細くて、雁来紅本来のあの雄大な立派さがない。 ふと、紫の一本が咲いているのが目につく。野菊ではない。友禅菊という、葉や、咲きかたや色の今めかしい品のない花だが、芒のかげに一叢になっているのは、邪魔にもならないのでそのままにしてあるが、初元結にはとてもおよばない。 初元結といえば、ずっと前に、もう物故ってしまった朱絃舎浜子が、これが、初元結だといって、一束の菊の苗をもってきてくれた。可愛がって育てると、葉は紫苑のさきの方に似て稍強く、スッとして花は単弁で野菊に似て稍大きかった。 その葉の色の青さ、その花の色の紫、それこそ春の山吹とともに、王朝時代の色をもった花だと見た。 その、初元結は、浜子のうちのも、あたくしの
長谷川時雨
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